2020 Fiscal Year Annual Research Report
歯髄組織を用いた破骨細胞前駆細胞のキャラクター解析
Project/Area Number |
19K24156
|
Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
西田 大輔 東京歯科大学, 歯学部, PF (00843608)
|
Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
|
Keywords | 破骨細胞 / RANKL/OPG比 / 外傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
破骨細胞は、単球・マクロファージ系の前駆細胞が分化した多核の骨吸収細胞である。破骨細胞の形成は、破骨細胞分化因子である、receptor activator NF-kappa B ligand(RANKL)とそのデコイ受容体である、osteoprotegerin(OPG)の相対比によって厳密に調節されている。一方、歯の硬組織を吸収する細胞は、破歯細胞と呼ばれる。破歯細胞は、正常な歯髄には存在しないが、外傷などの炎症性歯髄環境で誘導され、歯の内部吸収を引き起こす。破歯細胞の特性と調節因子は、破骨細胞と同様と考えられているが、歯髄の微小環境におけるRANKLとOPGの重要性、破骨(破歯)細胞前駆細胞の動態についてはよくわっていない。そこで本研究は、OPG欠損(KO)マウスを用いて、解析を行った。 マウス歯髄における破骨細胞調節因子の発現を確認したところ、正常時の歯髄組織では、RANKLとOPGが検出され、OPGの発現は骨と比較して有意に高値を示した。以上より、歯髄ではOPGが、破歯細胞形成を負に調節することが予想された。しかし、破歯細胞は、野生型と同様にOPG-KOの歯髄組織でも認められなかった。他方、外傷性損傷による破歯細胞誘 導が報告されている。そこで、外傷誘導性の破歯細胞形成におけるOPGの関与を検討した。外傷は、野生型、OPG-KO共に歯髄組織に破歯細胞を誘導したが、その数はOPG-KOで有意に増加した。この時、RANKLの発現は、損傷を受けていないコントロールよりも有意に高く、OPGは低下傾向を示した。その結果、歯髄のRANKL/OPGの相対比は有意に増加した。また、破骨(破歯)細胞前駆細胞であるマクロファージ系の細胞は、外傷でも変化は認められなかった。以上より、歯髄におけるOPGは、正常時には破歯細胞の形成抑制に関与しないが、外傷誘導性の破歯細胞形成を抑制することが明らかになった。
|
Research Products
(1 results)