2023 Fiscal Year Annual Research Report
フィリピン小児出生コホートにおける急性呼吸器感染症病原体の経時的かつ網羅的解析
Project/Area Number |
19K24160
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今村 剛朗 東北大学, 医学系研究科, 助教 (60849412)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | 急性呼吸器感染症 / フィリピン共和国 / インフルエンザ / 肺炎球菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性呼吸器感染症は小児において臨床的に一般的かつ重要な疾患であり、また発展途上国では小児死亡の主原因であるが、患者の上気道検体から検出される病原体の臨床的意義や、病原体の流行パターンに関しては不明な点も多い。本研究は、小児急性呼吸器感染症に関与する病原体の網羅的検出及び臨床的意義の解明を目的として、当初はフィリピン共和国において新たな小児出生コホート研究を実施する計画だった。しかし、2019年12月末に探知された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミックのため、COVID-19以外の感染症研究や公衆衛生対策は大きな制限を受けた。 そこで、1)過去RSウイルス(RSV)感染伝播コホート研究で経時的に採取した上気道検体を用いた呼吸器病原体の検出、2)過去小児急性呼吸器感染症コホート研究で採取した上気道検体を用いたインフルエンザA(IAV)H3N2亜型の流行様式に関する分子生物学的解析, 3)小児急性呼吸器感染症コホート研究の再開、を実施することとした。 1)については、2017-2019年の間に採取された計3,983検体について次世代シークエンシングを用いた網羅的病原体検出と、肺炎球菌を標的としたSanger法による遺伝子配列同定を行うべく新たな倫理委員会の承認を取得した。2)については、2014-2019年の間に、複数のIAV H3N2株がフィリピン共和国ビリラン島に流入していたことを明らかにし、流入したウイルス株がその後ビリラン島内で流行していた期間、およびその間に獲得した塩基/アミノ酸変異の有無についても解析した。解析結果は第70回日本ウイルス学会で発表し、現在学術雑誌への投稿を準備中である。3)については、フィリピン共和国熱帯医学研究所, 東北大学での倫理委員会の承認を経て、フィリピン共和国ビリラン島での小児急性期呼吸器感染症コホート研究を再開した。
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[Presentation] The role of local persistence and global dissemination in the transmission of influenza A/H3N2 in Biliran Island, Philippines, from 2014-2019.2023
Author(s)
Azam, S., Okamoto, M., Imamura, T., Sayama, Y., Saito, M., Dapat, C., Saito-Obata, M., Tamaki, R., Lupisan, S.P., Quiambao, B.P., Oshitani, H.
Organizer
第70回日本ウイルス学会
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