2019 Fiscal Year Research-status Report
冷え症者の皮膚血流変動の部位差と自覚的温冷感との関係について
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19K24171
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Research Institution | Mie Prefectural College of Nursing |
Principal Investigator |
平生 祐一郎 三重県立看護大学, 看護学部, 助教 (40846961)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 冷え / 皮膚温 / 皮膚血流量 / 自覚的温冷感 |
Outline of Annual Research Achievements |
健康な若年成人男女を対象に人工気候室を用いて、室温を4分間に1℃の割合で32℃から20℃まで連続的に低下させ、20℃を20分間維持する緩やかな寒冷にさらした。実験中、サーミスタ温度計を用いて被験者の鼓膜温と前胸部、上腕部、大腿部、下腿部、指尖、足趾の皮膚温、光ファイバー式レーザードップラー血流計を用いて指尖、足趾の皮膚血流量を連続的に測定した。また、寒冷にさらす直前および開始後5分毎に全身、手先および足先の主観的温冷感をVisual Analogue Scaleを用いて測定するとともに、レーザースペックルフローグラフで足の皮膚血流量を広範囲に測定し血流分布も観察した。 その結果、鼓膜温は、室温が下がるとともに0.2~0.3℃低下した。皮膚温も室温が下がるとともに低下し、特に指尖と足趾では皮膚血流量の増減に伴い上下しながら低下した。被験者は室温が低下するにつれ、手足に冷えを強く訴えたが、その強さの自覚や分布の様子にはかなり個人差があった。また、レーザースペックルフローグラフで記録した足の皮膚血流分布や、感覚との一致度にも個人差が大きかった。 以上から被験者が手足に感じた冷えは室温低下により強まったが、その訴えは指尖や足趾の皮膚温や皮膚血流量の変化と並行したことから、本研究で冷えを強めた要因は皮膚血流量の減少に伴う皮膚温低下であったと考えられる。皮膚温と皮膚血流量の急激な低下は指尖と足趾のみで観察されたことから、これには手足に多く存在している動静脈吻合の収縮が関係していたと推察される。一方、皮膚温と温度感覚が一致しないケースもあったことから、さらに多様な対象で検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は冷え症者を対象にした実験を開始する前に、非冷え症者(健康な若年成人男女)で緩やかな寒冷刺激に対する皮膚温や皮膚血流量、自覚的温冷感などを調べた。これにより、本格的な実験を開始する前に研究者等で実験のプロトコールを確認できたことや、非冷え症者から得られた生理学的データから冷えの現象を捉える一助になった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は対象者(冷え症者および非冷え症者)数を十分に確保して、本年度得られたデータの再現性を確認するとともに、冷え症がどのようなメカニズムで出現するのか等を生理学的指標を用いて評価する。
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Causes of Carryover |
本年度は研究に必要な物品等を自施設のもので対応したため、直接経費の使用はなく間接経費のみの使用であった。令和2年度はサーモグラフィーの購入を検討している。
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