2023 Fiscal Year Annual Research Report
乳児期における双生児及びその家族の睡眠行動と産後うつとの関連の解明
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19K24175
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
近藤 千惠 上智大学, 総合人間科学部, 助手 (70845065)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | 双生児 / 睡眠 / アクチグラフ / 乳児 / 父親 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は乳児期の双生児とその母親及び父親の睡眠状況と産後うつとの関連を明らかにし、双生児家庭への支援のあり方を考えることである。 昨年までの研究遂行における課題は、新型コロナウィルスの拡大により研究協力者のリクルートが困難であることであった。対策として機縁法により協力が得られた1組の単胎家庭に対し、横断的に乳児とその母親及び父親の縦断調査(生後1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月の4回実施。1回につき7日間、3者同時に睡眠測定機器を装着。)を行い、2021年に同様に縦断調査を行った双生児家庭1組との比較を行った。 乳児および母親の夜間の睡眠効率に大きな差はなかった。父親の夜間の睡眠効率について、単胎の父親は生後1ヶ月から4ヶ月まで90%前後で推移していたのに対し、双生児の父親は70%台前半で推移していた。調査開始時のエジンバラ産後うつ質問票の値は、単胎の父親は0点、双生児の父親は1点であった。 米国における研究では、双生児の父親は日中の睡眠で夜間の睡眠不足を取り戻している母親に比べて睡眠時間が短いことが明らかになっている(Elizabeth G, 2008)。一般的に単胎の父親は母親より睡眠時間が長い。今回得られた結果から、我が国においても、子どもが1人であれば、父親の睡眠は大きな影響を受けることはないが、2人いると大きく関わることが示唆された。単胎、双生児どちらの父親も産後うつのスクリーニングは陰性であった。 我が国では2021年の母子保健法の改正により、出産後1年を経過しない女子および乳児に対し、産後ケア事業を行うことが努力義務となった。その対象は母親と乳児に限定されている。双生児家庭においては、睡眠不足が父母ともに長期に渡り持続するため、母親だけでなく父親に対しても支援が必要であると考えられる。
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