2022 Fiscal Year Research-status Report
全国の市区町村における訪問リハビリテーションの需要と供給体制
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19K24177
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
太箸 俊宏 東京工科大学, 医療保健学部, 助教 (60847325)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | 訪問リハビリテーション / 高齢者 / セラピスト / 理学療法士 / 作業療法士 / 需要 / 供給 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高齢者人口をもとに訪問リハビリテーションの需要を推計し、需要に沿ったサービス提供体制の構築に資することである。そのため、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口を使用し、市区町村単位での訪問リハビリテーションの需要を推計する。 2022年度は、47都道府県の全市区町村について以下に示すデータの整理および解析を実施した。 ①訪問リハビリテーション提供施設数、②各施設による訪問リハビリテーションへのリハビリテーション専門職の従業者数(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の常勤換算人数)、③訪問リハビリテーションの提供内容(短期集中リハビリテーションやリハビリテーションマネジメント加算、サービス提供体制強化加算等の有無)、④各施設の訪問リハビリテーション提供実績(要介護度ごとの利用者数、延べサービス提供回数)⑤65歳以上人口 その結果、訪問リハビリテーション提供施設は最も多い県で314施設あるのに対し、最も少ない県は18施設に留まっていた。訪問リハビリテーション施設が多い県は大阪府、東京都、愛知県の順となっており、人口分布とはやや異なる傾向が見られた。訪問リハビリテーション提供施設数を市区町村単位でみると、東京都では23区内に多く、他県においても都市部に多い傾向が見られた。 これらの解析と訪問リハビリテーション提供施設への調査を進めることより、訪問リハビリテーションの需要および提供体制に影響を与える要因を明らかにし、需要に沿ったサービス提供体制の構築に資することができるものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
これまで①2008年から2018年にかけての全国の高齢者人口と訪問リハビリテーション実施回数の経年変化、②2018年における都道府県別の高齢者人口と訪問リハビリテーション実施回数、③北関東における訪問リハビリテーション提供体制と高齢者人口との関係、④2009年と2019年における都道府県単位での高齢者人口および訪問看護ステーションに勤務しているセラピスト数の関係について調査・報告を行った。 その結果、①全国の高齢者人口は2008年の約2740万人から2018年の約3480万人へと増加し、訪問リハビリテーションの提供回数は2008年の約280万回から2018年には1296万回へと増加、②2018年における全都道府県の訪問リハビリテーション実施回数(千人あたり)の平均は385.4回、最も訪問リハビリテーションの回数が多かった県は1032.8回、最も少なかった県は141.1回、③北関東における高齢者人口あたりの訪問リハビリテーション提供回数が多い市は高齢者1万人に対して800回以上提供している一方、訪問リハビリテーションを提供する施設が全く無い市も複数存在した、④2009年から2019年にかけて全国の高齢者は2901万人から3589万人と約1.2倍に増加し、訪問リハビリテーションに従事するセラピストは3348人から18206人と約5.4倍に増加、これにより高齢者100人あたりの訪問リハビリテーションに従事するセラピストの全国平均は、10.3人から41.1人に増加し、都道府県単位でみた高齢者人口と訪問リハビリテーションに従事するセラピスト数の相関係数は2009年の0.89から2019年の0.92となり、相関が強くなっていた。 全国の市区町村単位での解析を進めているが、新型コロナウィルス感染症の影響により訪問リハビリテーション提供施設での調査が延期となり研究が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染症が5類感染症になることから、延期となっていた臨床現場での訪問リハビリテーションの需要および供給体制を変動させる要因に関する調査を実施する。 また、全国の訪問リハビリテーション提供体制について、市区町村単位での高齢者人口あたりの訪問リハビリテーションに従事するセラピスト数の地域格差について解析を実施する。 これらの結果を統合し、訪問リハビリテーションの需要および提供体制に関する論文を執筆・投稿し、研究成果を公表する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の影響により、訪問リハビリテーションの需要および供給体制を変動させる要因に関する臨床現場での調査が延期となった。 そのため、論文の執筆に遅れが生じ、英文校正や論文投稿に係る費用の執行が遅れた。 次年度は、学会参加費および旅費約5万円、英文校正費約20万円、論文投稿費約35万円を使用する計画である。
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