2019 Fiscal Year Research-status Report
受動喫煙と循環器疾患の死亡・発症との関連と受動喫煙回避行動の促進・抑制要因の解明
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19K24185
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
小林 由佳 国立保健医療科学院, 生涯健康研究部, 研究員 (80845743)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 受動喫煙と循環器疾患 / 家庭内受動喫煙 / 女性 |
Outline of Annual Research Achievements |
大規模コホート研究であるJACC Studyの解析により、家庭内の受動喫煙と循環器疾患の死亡との関連がみられた。対象者は、生涯非喫煙者であり、循環器疾患とがんの既往歴がない日本人女性とした。 本研究は受動喫煙の曝露状況を包括的にみるために、家庭内の受動喫煙と家庭外の受動喫煙の曝露状況を組み合わせて解析している。曝露状況が家庭内の受動喫煙のみ、家庭外の受動喫煙のみ、そして家庭内と家庭外の受動喫煙についてそれぞれ調べたところ、家庭内の受動喫煙と循環器疾患との関連がみられた一方、家庭外のみと家庭内と家庭外の受動喫煙については関連がみられなかった。 公共の場や職場等の規制による受動喫煙対策はあるが、家庭内の受動喫煙に関しては、「屋外や家庭等において喫煙をする際、望まない受動喫煙を生じさせることがないよう周囲の状況に配慮しなければならないものとする。」という提言にとどまっている。また、国の「受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会の報告書」によると、家庭における20代・30代の喫煙率は、その他の年代と比べて高く、20代では男性48%、女性17%、30代では男性56%、女性17%であった。更に、20代、30代は妊娠、出産、子育てを行うことが多い年代であることから、家庭内の受動喫煙による影響は、配偶者のみではなく、子どもへの影響も懸念されている。その為、報告書では家庭内における受動喫煙への対策は、重要かつ緊急性の高い課題の一つと指摘している。 このような現状の中で、本研究は家庭内という比較的狭い室内環境における、女性への受動喫煙による健康被害について明らかにした。既に、海外の研究等から受動喫煙と循環器疾患の関連は科学的根拠があるものとされているが、日本人を対象とした大規模コホート研究による、受動喫煙と循環器疾患との関連は殆ど見出されていないため、疫学研究の蓄積に大きく貢献することになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19の影響により、解析作業をするための出張が出来ず、解析が十分に進んでいない現状がある。
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Strategy for Future Research Activity |
解析の為の出張については、COVID-19の流行が下火で自治体が移動を許可している間に集中的に行う予定。
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Causes of Carryover |
研究が遅れている理由の1つであるCOVID-19による影響で、研究解析の為の出張・会議が大幅に減ったことが挙げられる。時期をみて、遅れた分の解析を進めるために出張を行いたい。
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