2019 Fiscal Year Research-status Report
認知症予防を目的としたテーラード介入に向けた地域在住高齢者の特徴抽出
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19K24188
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
片山 脩 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 老年学・社会科学研究センター, 研究員 (60845999)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 軽度認知障害 / 高齢者 / 危険因子 / 認知症 |
Outline of Annual Research Achievements |
軽度認知障害(MCI)を有する地域在住高齢における認知症の修正可能な危険因子の保有パターンを明らかにし、4年間のフォローアップにより保有パターンとMCIから正常な認知機能への回復との関係を検討した。 対象者は、国立長寿医療研究センターが実施した老年症候群に係る研究に参加した65歳以上の高齢者5104名(平均年齢72.0±5.4歳、男性368名、女性421名)とした。追跡調査に3095名(60.6%)が参加した。ベースラインにおいてMCIと判定された高齢者789名を追跡調査にてMCIから正常な認知機能へ回復したリバーター群と回復しなかったノンリバーター群に分類した。追跡期間にドロップアウトした328名の欠損値を補完した後、789名で縦断分析を実施した。ベースラインでの9つの修正可能な危険因子(低教育歴、難聴、高血圧、肥満、喫煙、うつ病、身体活動の低下、社会的孤立、糖尿病)について、潜在クラス分析を用いて保有パターンを分類した。その後、保有パターンとMCIから正常な認知機能への回復との関係を二項ロジスティック回帰分析にて解析した。 欠損値を補完した789名のうち234名(30.9%)が正常な認知機能に回復した。MCIを有する高齢者の修正可能な危険因子は、5つの保有パターン(①低リスク、②心理社会的、③健康行動、④低教育、⑤喫煙)に分類された。ロジスティック回帰分析の結果、低リスクパターンは、他のパターンよりもMCIから正常な認知機能に回復する可能性が高かった(P <.05)。 MCIを有する高齢者の認知症の修正可能な危険因子の保有パターンは5つに分類された。低リスクパターンは、他のパターンよりもMCIから正常な認知機能に回復する可能性が高かった。これらの結果は、MCIを有する高齢者の認知機能低下や認知症を予防するための介入プログラムを立案するための有用な情報を提供する可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
要支援、要介護認定を受けていない65歳以上の地域在住高齢者5,104名を対象に認知症の修正可能な危険因子(低教育歴、難聴、高血圧、肥満、喫煙、うつ病、身体活動の低下、社会的孤立、糖尿病)の保有パターンに関して潜在クラス分析を用いて解析を行った。MCIを有する高齢者では、複数の保有パターンが存在することが明らかとなった。研究結果に関して、論文投稿し現在査読中である。 MCIと判定され、4年後のフォローアップの際に正常な認知機能と判定された高齢者の特徴抽出に向け、ライフスタイル活動(手段的日常生活動作(IADL)、認知活動、社会活動、生産活動の16項目)の潜在クラス分析を実施するため、データセットを作成している。 研究は、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
対象は、ベースライン調査でMCIと判定された769名を対象にライフスタイル活動(手段的日常生活動作(IADL)、認知活動、社会活動、生産活動の16項目)の潜在クラス分析を実施し、MCIから正常な認知機能に回復した高齢者の特徴抽出を行う。得られた結果に関して速やかに論文執筆、投稿する予定である。 実施したすべての研究結果を統合し、実績報告書にて報告を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、外部での打ち合わせ等が困難と判断し、旅費及び人件費・謝金に差額が生じた。 次年度において、新型コロナウイルスの感染拡大に収束の兆しがみえれば、外部での打ち合わせ等にて研究費を使用する。困難と判断した際は、Web会議等で対応する。 また、研究結果をまとめた論文執筆に伴う英文校正費、論文掲載料に使用する。
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Research Products
(3 results)