2022 Fiscal Year Research-status Report
医療経済評価における非選好型尺度からQOL値へのマッピング手法に関する基礎的研究
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19K24193
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
萩原 康博 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (60844040)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | QOL値 / 健康効用値 / マッピング / 機械学習 / がん / サンプルサイズ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主に3つの研究を行った。 1つめの研究として、昨年度から継続して、ソース尺度とターゲット尺度の測定順がマッピングアルゴリズムに与える影響をがん領域の実データを用いた検討した。その結果、より具体的な質問項目が並ぶソース尺度を先に測定すると、ターゲット尺度で健康状態を悪く評価する傾向があることが分かった。この研究成果はHealth and Quality of Life Outcomes誌に掲載された。 2つめの研究として、機械学習手法を用いてマッピングアルゴリズムを作成した。幅広いテーブルデータでよい予測性能を示す勾配ブースティング木を用いて、がん領域のマッピングアルゴリズムを作成した。その結果、回帰モデルによりマッピングアルゴリズムより、QOL値の総合的な予測性能の改善は見られなかったものの、回帰モデルにおける課題であった健康状態が良い患者や悪い患者での予測性能が改善する可能性が示唆された。この研究成果はValue in Health誌に掲載された。 3つめの研究として、マッピングアルゴリズムを作成するために必要な最小サンプルサイズ計算法の開発を行った。臨床予測モデルにおける最小サンプルサイズ計算法を修正する形で、線型回帰をマッピングに用いる場合の提案法を作成した。提案法で計算した最小サンプルサイズと既存研究のサンプルサイズを照らし合わせると、サンプルサイズが十分でない既存研究があることを示した。現在この研究成果に関しては、論文を作成して投稿し、査読を受けている段階にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始当時に予定していた、妥当なマッピングアルゴリズムの条件の実データを用いた評価は、当初予定していたデータが検証に不適切なことが分かったので、本年度も取り組まなかった。一方、研究開始前に想定していなかった質問票の順序と機械学習手法の研究に関して論文が掲載された。もう1つの想定していなかったサンプルサイズの研究は論文投稿まで進めることができ、その他のマッピング手法への発展性もあるテーマである。そのため、総合的にはおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、残りのサンプルサイズに関する研究に関して論文出版および学会発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
今年度までに研究の1つが論文投稿まで終わらなかったため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は論文の英文校正などに使用予定である。
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Research Products
(3 results)