2019 Fiscal Year Research-status Report
Quality of Life in severe dementia
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19K24196
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永田 優馬 大阪大学, 医学系研究科, 特任研究員 (90832824)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 認知症 / 重度認知症 / QoL |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,重症度特異的なQoL評価尺度を用い,認知機能と日常生活活動だけでなく,BPSD,苦痛や環境面との関連性を捉えて重度認知症者のQoLに影響を及ぼす要因を特定することを目的としていた。H31年度は,重度認知症者用のQoL評価尺度 (QUALID-J) と各変数との関連性を調査することとしていた。 対象者は105名(女性80名),平均年齢87.5±6.3であった。各評価指標の平均±標準偏差は,QUALID-J 28.6±7.3,MMSE 3.8±3.9,CTSD 13.1±9.1,PSMS 11.1±2.6,NPI-NH 13.5±14.8,CSDD 1.6±1.9,PAIN-AD 1.8±1.9,CCI 2.3±1.3であった。QUALID-Jの探索的因子分析を行ったところ,2因子(不快表出の因子,快表出の因子)に分けることができた。この結果をもとに,因子ごとに関連性のある指標をSpearman順位相関係数を用いて分析したところ,不快表出の因子はNPI-NH (ρ=0.635, p<0.01),CSDD (ρ=0.591, p<0.01),およびPAIN-AD (ρ=0.502, p<0.01)と有意な相関を認めた。快表出の因子はMMSE(ρ=-0.278, p<0.01),CTSD(ρ=-0.355, p<0.01),PSMS(ρ==0.373, p<0.01),およびPAIN-AD(ρ=0.385, p<0.01)との有意な相関を認めた。つまり,因子ごとに関わる要因が異なる点と,苦痛を表わすPAIN-ADは両方の因子と関連があることが明らかとなった。現在は相関のみの分析となるので,今後は重回帰分析を用いて因果関係をより深く考察する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目の研究に向けて縦断的な評価も行っているが,対象者が高齢であるため予期せぬ転院や施設入所,さらには状態の変化も認め縦断的検討の症例数が集まっていない状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
R2年度では,重度認知症者の縦断的検討のための評価を引き続き行う。H31年度では因子分析との相関だけであったが,重回帰分析などの手法を用いてQoLに関連する要因の分析も行う。
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Causes of Carryover |
H31年度は、QoLに関する分析を行う上で、予定していた分析を行う前段階の分析を行う必要があった(H31年度に論文として報告したQoLの因子分析について)。そのため、必要な統計分析手法も予定していた内容よりも少なかったので、未使用額が生じた。このため、次年度では重回帰分析や共分散構造分析などの新たな分析手法を導入し発表を行うことし、未使用額はその費用に充てることとしたい。
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