2022 Fiscal Year Annual Research Report
Epidemiological elucidation of the polypharmacy of Kampo medicine
Project/Area Number |
19K24200
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古橋 寛子 九州大学, 医学研究院, 学術研究員 (40816774)
|
Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2023-03-31
|
Keywords | 漢方 / 生薬 / 多剤併用 / ポリファーマシー / 電子カルテデータ / リアルワールドデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
昨今の漢方薬の使用増加により、「漢方薬のポリファーマシー」と呼ばれる漢方薬の多剤併用による有害事象発生が懸念されている。そこで、本研究課題では大学病院の電子カルテデータを用いて①漢方薬の多剤併用状況と②漢方薬による副作用の発症状況を把握し、③漢方薬によるポリファーマシーの実用的な定義を提案することをめざした。 これまでは主に①漢方薬の多剤併用状況の解析に取り組み、漢方薬被処方者の約20%に多剤併用があること、多剤併用者の半数以上で構成生薬の重複があること、構成生薬の過量が単剤処方でも起こっていることなどを明らかにしてきた。 今年度は残余課題である②漢方薬の副作用の発症状況の解析に取り組んだ。対象とする副作用は、これまでに漢方薬との関連が示唆され、かつ電子カルテの構造化データから定義可能な疾患として、薬剤性肝障害、薬剤性腎障害、偽アルドステロン症の3つとした。これらの病名付与率が非常に低かったため候補疾患を検査値異常で定義することとし、それぞれALT高値またはALP高値(肝機能異常)、eGFR低値(腎機能低下)、カリウム低値(低カリウム血症)を代理指標とした。2008年のベースライン期間に漢方薬処方があり検査値が正常だった約2000名を対象として2009年から2018年の観察期間中に各副作用が発生するかを検討したが、いずれの副作用発生者も検出することができなかった。 漢方薬による副作用が十分に検出できなかったため、③漢方薬のポリファーマシーの実用的な定義を定めるには至らなかったが、西洋薬のような薬剤数による定義は漢方薬のポリファーマシーの定義としては不適当であり、構成生薬の量や重複状況を考慮する必要があることが示唆された。また、今後の後継研究課題で漢方薬の多剤併用と副作用との関連を検討する際には、より高度な曝露とアウトカムの定義や研究デザイン、解析手法が必要であることがわかった。
|
Research Products
(1 results)