2023 Fiscal Year Annual Research Report
Risk perception on the prophylactic use of stable iodine in mothers living around the Sendai Nuclear Power Plant, Kagoshima Prefecture
Project/Area Number |
19K24201
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Research Institution | Kwassui Women's College |
Principal Investigator |
山田 裕美子 活水女子大学, 看護学部, 助教 (90840215)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | 原子力災害 / 初動対応 / 保健師 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は鹿児島県の保健師へ調査した原子力災害初動対応の準備状況について、データを解析し、日本放射線看護学会学術集会にて口頭発表を行った。調査結果として、「原子力災害発生直後から十分に保健活動ができると思っている保健師の割合はわずか7%」であることが明らかとなった。保健師の原子力災害初動においての役割として、住民避難の支援や安定ヨウ素服用支援、また、平時からの体制整備などが主に上げられるが、一般住民の避難支援では94%が、要配慮者の避難支援では99%の保健師が十分に支援を行えないと回答した。安定ヨウ素剤の服用支援においては、54%の保健師が安定ヨウ素剤に関する研修に参加歴があるものの、約92%が安定ヨウ素剤服用に関する相談対応に自身がないと回答した。さらに、安定ヨウ素剤の最適な服用タイミングを理解していたのは約6割、正しい効果を理解していたのは約3割、効果持続期間を知っていたのは約4割という結果であった。体制整備においては、原子力災害に必要な情報の円滑な伝達体制が整っていると回答した保健師は約3割、専門機関への相談体制が整備されていると回答したのは約3割であった。 今回の調査結果から、福島原子力発電所事故から12年経過した現在においても、原子力災害対応の備えとして、ハード面(情報伝達や専門機関との連携体制等)・ソフト面(研修や職場教育での知識定着)の両面が十分に準備されているとは言い難い現状であることが示唆された。将来に備え、保健師の原子力災害時初動対応に関する知識の普及や十分な体制整備を行うことは急務であり、さらに万全な準備となるように知識習得に留まらず実践力を身に付けることができる研修体系へと教育内容を再編する必要があると考える。これらの結果を論文化し、海外雑誌へ投稿したが不採択となったため、現在他の海外雑誌へ投稿中である。
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