2021 Fiscal Year Research-status Report
Epidemiological study for seasonality change of respiratory syncytial virus epidemics: risk factor analysis and mathematical modeling
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19K24219
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Research Institution | Osaka Institute of Public Health |
Principal Investigator |
三山 豪士 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 公衆衛生部, 研究員 (30846241)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | RSV感染症 / 新型コロナウイルス感染症 / 早期探知 / 実効再生産数 / 感染症疫学 / 子孫分布 / 流行期判定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、RSウイルス感染症についての流行状況の把握、早期探知、また、感染伝播性を評価することを目的としている。流行の早期探知を目的にRSウイルス感染症の実効再生産数をモニターした。感染症発生動向調査に用いられる定点当たり報告数を用いて流行期判定基準について検討した。また、感染症の伝播性について、新型コロナウイルス感染症の感染者一人当たりが産み出す二次感染者数の分布、及び年齢別感受性を解析した。 RSウイルスの実効再生産数の推定:感染拡大の早期探知のため、大阪府におけるRSウイルス感染症の実効再生産数のモニタリングを行った。2020年は流行が認められなかったが、2021年第2週頃より実効再生産数95%信頼区間の下限値が1を上回り、三峰性の流行曲線を示した。実効再生産数は、感染拡大状況を早期に把握できるため、そのモニタリングは有用であった。 RSウイルス流行期判定の検討:実効再生産数95%信頼区間の下限値が1を超えてから、その時の定点当報告数を下回るまでの期間を流行期とし、流行期判定基準を検討した。大阪府において、流行期判定の感度と特異度の和を最大にする定点当報告数は0.38であった。この定点当たり報告数は流行期判定の基準となり得る。 新型コロナウイルス感染症の二次感染者数分布の経時的変動:日本における第2波および第4波の濃厚接触者調査情報を用いて、感染者一人当たりが産み出す二次感染者数の分布を解析し、そのばらつき(分散)を推定した。このばらつきが大きいほど、接触者調査や、感染リスクの高いグループへの介入効果が高いとされている。第4波において、二次感染者数分布のばらつきが小さくなっていた。ばらつきの変動を評価することで、感染症対策方法の選択に役立つと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題は、数理モデルを用いたRSウイルス感染症の流行状況把握、早期探知、流行予測を目的としている。RSウイルス感染症の実効再生産数をモニターすることで、流行の早期探知を行った。また、より一般に周知が可能となるよう、感染症発生動向調査にて広く用いられている指標である定点当たり報告数を用いて、流行判定の基準作成の検討を行った。RSウイルス感染症は、新型コロナウイルス感染症対策等の影響により、2020年は流行しなかったが、2021年上旬から夏にかけて感染拡大が認められた。コロナ禍における流行予測は、当初の研究計画に反して感受性個体の変動と、人の行動様式を考慮したモデルを構築する必要がある。この流行予測モデルは現在解析中であり、進捗はやや遅れている。当該年度においても、社会的、学術的に喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症が流行したことから、新型コロナウイルス感染症を対象とし、数理モデルを用いた感染伝播性の評価を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の実施計画のうち、以下2点について実施する:(1)RSウイルス感染症流行を予測する数理モデルの作成と検証する、(2)既存のRSウイルス感染症発生データから、RSウイルス感染症の流行動態の把握に重要となる再生産数の推定、及び流行期の変動が再生産数へ及ぼす影響を分析する。2020、2021年は、RSウイルス感染症の流行動態が例年と大きく異なった。新型コロナウイルス感染症の流行対策による人の行動様式の変化や感受性個体の変動等がRSウイルス感染症発生動向に及ぼした影響について考慮し、上記解析を実施する。 新型コロナウイルス感染症の研究については、本年度実施した二次感染者数分布の研究の報告書作成を継続実施する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症感染拡大を受け、本年度参加した国際学会、国内学会がオンライン開催となった。これに伴い、旅費の支出が減少した。以上より次年度使用額が生じた。繰越金については、翌年度の学会発表、論文発表、出張旅費に利用する。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Phenomenological and mechanistic models for predicting early transmission data of COVID-192021
Author(s)
Miyama T, Jung SM, Hayashi K, Anzai A, Kinoshita R, Kobayashi T, Linton NM, Suzuki A, Yang Y, Yuan B, Kayano T, Akhmetzhanov AR, Nishiura H
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Journal Title
Mathematical Biosciences and Engineering
Volume: 19
Pages: 2043~2055
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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