Developing a method for resolving bottleneck in analyses of national databases

2020 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 19K24222
• Research Institution: University of Tsukuba
• Principal Investigator: 久米 慶太郎 筑波大学, 医学医療系, 助教 (70853191)
• Project Period (FY): 2019-08-30 – 2022-03-31
• Keywords: 社会医学 / 匿名化 / ビッグデータ / 秘密計算 / 情報工学

Outline of Annual Research Achievements

本研究では、保険医療情報におけるインフラストラクチャーの整備という観点に基づき、多大な価値を有しているものの取り扱いに注意を要する個人情報であるために利活用が限られたものとなっている保健医療に関するデータベースについて、その活用機会を拡大するための方法論の開発に取り組んでいる。令和二年度の進展については、以下の2点に分けて記述する。
①保険医療に関する情報は巨大なデータベースに収められており、研究の生産性を高めるためにはそこから効率よく情報を取り出す必要がある。令和二年度も令和元年度に引き続き、医療データベースを用いた研究の具体事例について調査を行いどのような利用がされているかの情報を抽出した。それに基づき保険医療データベースの特徴およびそれを利用する研究者の利用傾向を考慮して、データベースのパフォーマンスを向上させる方法について検討を行った。この方法の評価については、令和二年度中の不測の事態により必要機材を導入できなかったため、継続して行う予定である。
②個人情報を用いた研究を行う際には、法律やデータの提供元である機関、研究機関で定められているそれぞれの要件を遵守しなければならないが、故意または過失によって情報が漏洩する事例が存在する。これらの具体的な事例を基とした仮想的な状況を設定し、本研究で取り組んでいる匿名化および秘密計算手法がそのような条件下での情報流出に対してどれほど有効であるかを検証・評価した。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

令和元年度に発見した新たな課題を解決することを目的として外部演算装置を導入する計画であったが、令和二年度は令和元年度からさらに世界的な半導体の供給不足が深刻化し、研究課題遂行のための機材が入手できなかったため。昨年度の供給不足の状況を受けて、取次業者に早期から外部演算装置の確保を依頼していたものの、仮想通貨等の流行により入手が非常に困難となることは全く予期できないことであった。令和三年現在においても数量が限られ価格が高騰しており依然として入手困難な状況である。

Strategy for Future Research Activity

令和三年度は、令和元年および二年度中に得られた知見をもととして、引き続きレセプト情報・特定健診等情報データベース（NDB）を想定した仮想データベースを対象とした匿名化手法の適用・設計およびその評価を行う。また、令和二年度中に必要な機材を入手できなかったことからやや遅延しているデータベース操作のパフォーマンスおよびデータベース設計の改善およびその評価に引き続き取り組む予定である。また、要配慮個人情報であるNDBデータを扱うためにはセキュリティ要件を満たした研究施設に出入りする必要があることから、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う行動自粛の影響を考慮して、令和二年度は本研究の妥当性を実際のNDBデータを用いて評価する実験を行わないこととしたが、令和三年度も新型コロナウイルス感染症の流行がどのように経過するか予測できないことから、引き続きこれを行わないこととする。

Causes of Carryover

当該年度は課題解決に必要な外部演算装置を導入する計画であり、数ヶ月の余裕をもって取次業者とともにメーカー販売開始日以前から状況を確認していたが、異常なほどの需要の発生と価格高騰により年度内に機材を購入することができなかったため。この状況は令和三年度現在も解決の見通しが立っていないため、令和二年度からの計画を変更し、クラウド計算基盤の利用料もしくは既存の機材拡張費用に使用し、課題解決に取り組む予定である。