心臓デバイス植込み患者の生活リズムに基づく生活調整・看護支援の検討

2019 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 19K24227
• Research Institution: Kobe University
• Principal Investigator: 谷渕 文美 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (50848439)
• Project Period (FY): 2019-08-30 – 2021-03-31
• Keywords: 心臓デバイス植込み患者 / 生活リズム / 看護 / 生活の質

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、心臓デバイス（ICD, CRT-D）植え込み患者の生活リズムに焦点を当てた看護支援の検討を行うために、体動センサー（アクチウォッチ）を用いて日中の活動と夜間の睡眠を調査し、周期回帰分析によって生活リズムの実態を明らかにすること、そして生活リズムと患者背景との関連を調査し、生活リズムに影響を与える要因を明らかにすることを目的としている。
まず、本学内に所属する周期回帰分析を扱う臨床生理学を専門とする研究者に、周期回帰分析に関する専門的知識の提供を依頼し、指導を受けた。そして、谷渕がこれまでの研究活動（心臓デバイス植え込み患者の睡眠の実態とそれに関連する要因）で収集したデータより、活動強度（METs)を用いた周期回帰分析を行った。この周期回帰分析では、昼間の活動強度が強く、夜間の活動強度は小さい、つまり日中によく活動し夜間はよく眠れていると、振幅の大きいはっきりした波の波形となる。しかし、心臓デバイス植え込み患者では、日中のほとんどが座位行動（1.5METs以下）の低強度の活動の者が多く、振幅も小さい傾向にあった。中には、日中の多くの時間が座位行動ではあるが一部の時間のみで1.5METs以上のやや強い強度の活動を行っている者、日中を通してほとんどが1.5METs以上の活動を行っている者もいることが明らかとなった。
今後、波のパターンや生活の質との関連の分析をすすめ、生活リズムに焦点を当てた看護支援の検討を進めていく。また、本研究の調査開始のため、調査実施施設での倫理審査、打ち合わせ、準備を行っている。しかし、これは新型コロナウイルス感染症対策のため、調査開始を見合わせている。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究は心臓デバイス植込み患者を対象としており、研究協力施設は医療機関である。本来であれば2020年4月より調査開始の予定であったが、新型コロナウイルス感染症対策のため調査の開始が困難な状況にある。また、緊急事態宣言が発出され、研究対象者および研究者の健康管理のためにも、現状では調査開始は適切でないと考える。そのため、進捗はやや遅れていると考える。

Strategy for Future Research Activity

新型コロナウイルス感染症の流行が収束し、安全に調査が可能となり次第、心臓デバイス植え込み患者を対象に調査を開始する。
調査方法は、同意が得られた前述の患者を対象とし、生活リズムを明らかにするために体動センサー（アクチウォッチ）の7日間装着を依頼する。また、自記式質問紙により関連要因の調査を行う。主観的気分状態は短縮日本語版Profile of Mood States（POMS）を用いる。これにより疲労感・不安・うつ・怒り敵意・混乱当惑・抑うつ落込み・疲労無気力・緊張不安・活気活力・友好の7尺度とネガティブな気分状態総合得点を調査する。そしてSF‐36を用いて健康関連QOLを調査する。これは身体機能・日常役割機能（身体)・体の痛み・全体的健康感・活力・社会生活機能・日常役割機能（精神)・心の健康の8つの健康概念を測定する質問紙である。また、対象者の生年月日、性別、既往歴、現病歴、基礎疾患、心機能、内服薬、家族、同居状況、仕事、といった基本属性は診療録の閲覧により調査する。起床時間、就寝時間、食事時間、仕事や余暇といった生活内容は聞き取りにより調査する。

Causes of Carryover

本来であれば2020年4月頃より調査を開始する予定であり、それに合わせて機器の購入や調査に必要となる物品の購入を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症対策のため調査開始を見合わせており、それによりこれら必要物品の購入を見合わせたたである。調査開始を見込み次第、物品の購入や調査にかかる人件費、そして研究成果の発表等のために使用していく計画である。