2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K24234
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
松裏 豊 静岡県立大学, 看護学部, 助教 (30840897)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 睡眠 / 集中治療 / サーカディアンリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
集中治療による全身管理が必要な患者の多くは、医療スタッフの介入による睡眠の中断などにより睡眠の断片化、浅睡眠の増加、徐波睡眠の減少を特徴とする睡眠障害を引き起こす。睡眠障害は免疫力の低下、耐糖能低下や交感神経活動増加などを引き起こす。そのため睡眠を保つことは、疾患からの回復過程において、重要な役割を果たしている。しかし臨床現場では、客観的評価の困難さから睡眠に対する検討は十分に行われていない。本研究の目的はICU入室患者の睡眠周期を維持するためにICUに入室した患者の睡眠の質を主観的および客観的評価方法を用いて明らかにすることである。 令和元年度においてはまず集中治療領域において実践されている睡眠ケアがもたらす影響について文献検討を行った。その結果、せん妄予防策として睡眠ケアが行われており、その有用性が示唆された。さらに、臨床での実証実験における予備実験として、健常成人を対象に脳波計を用いて睡眠を評価し、睡眠の中断が脳波や睡眠の変化に与える影響について運動覚醒前後の脳波の比較検討を行った。得られた脳波は、自己回帰分析によりパワースペクトルを算出し、δ帯域(0.5‐4.0 Hz未満)、θ帯域 (4.0‐7.0 Hz未満)、α帯域 (7.0‐12.0 Hz未満)、β帯域 (12.0‐30 Hz未満)帯域におけるパワースペクトルの積分値を算出した。その結果、各周波数帯域におけるパワースペクトルは運動覚醒前後の比較において有意な変化が認められた。本実験より運動覚醒が徐波睡眠の低下・浅睡眠の増加をもたらす可能性が示唆された。この結果をもとに臨床実験におけるサンプルサイズの設定や研究施設との調整を行なっていき、集中治療室に入室する患者を対象とした実証実験を開始していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和元年度は研究実施施設への倫理審査の申請、実証実験を開始する予定であったが、文献検討および予備的実験までの実施となった。研究実施施設の選択に時間を要したことと、新型コロナウイルスの影響により、受け入れ可能であった研究実施施設との調整が困難となり、倫理審査の申請がおこなえず、それに伴い臨床での実証実験を行うまでに至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は臨床での実証実験におけるサンプルサイズの設定や研究実施施設との調整を行なっていき、集中治療室に入室する患者を対象とした実証実験を開始していく。 また研究計画書において感染予防対策に関する項を追加することや、複数の研究可能施設への打診を行う。
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