2020 Fiscal Year Research-status Report
せん妄に対する医療事故予防:AIとセンシング技術による早期発見システムの構築
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19K24235
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
久保田 陽介 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (70787431)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | せん妄 / AI / 深層学習 / 医療事故 |
Outline of Annual Research Achievements |
せん妄は、入院中の高齢者に頻度が高く、転倒・転落や点滴類の自己抜去など様々な医療事故の最大の原因であるが、夜間を中心に急性に出現するため、その発 症予測および早期発見が極めて困難である。本研究では、医療事故を予防する目的で、生体センサと人工知能を応用した世界初の非侵襲的な自動せん妄早期発見 システムを構築することを目的としている。本システムが開発されれば、重篤な医療事故の減少および高齢者の健康寿命の改善に寄与するのみならず、医療費削減および現場の医療者の負担軽減にもつながることが期待される。 研究1 せん妄予測のためのベッド環境の開発:ベッド下圧力センサ・加速度センサをベッド周囲に設置し、睡眠状態、歩行状態や平衡感覚などを検出できるベッ ド環境を作成した。更に、名古屋市立大学病院に入院となり、消化器外科・呼吸器外科・心臓血管外科の高頻度でせん妄を発症する手術後の患者を対象に、作成 したベッド環境で患者が睡眠を取ることで、自動的に睡眠状態・加速度が記録されるシステムを作成し臨床研究の研究計画書を作成し、倫理委員会の承認をえた。研究2医療事故データにおけるAIを用いた解析:これまで転倒や点滴を繰り返し、医療事故を引き起こしている患者のデータ予測モデル抽出するため転倒転落 群・点滴自己抜去群を抽出し、加えて、性別・年齢・発生病棟をマッチさせる形でコントロール群を抽出し、L1正則化ロジスティック回帰、決定木、XGBoostの 3種類を用いた予測モデルのアルゴリズムを用いた。その結果、入院時点での薬剤別利用状況において、AUROCが0.607であった。2020年度においては、引き続き 自動せん妄予兆システムの構築・並びにデータ予測を進めていたが、研究1・研究2ともにAI解析の協力者がコロナ禍のため、解析が困難であり、手術及び消毒体制の変更により、リクルートが遅延した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究1について、研究のリクルート主体となる名古屋市立大学病院がコロナ感染症協力病院になったことで、ICUやERなどの集中管理ができる病床が減り、一般外科・呼吸器外科・心臓外科の手術の定期手術枠が激減した。2020年度は、せん妄リスクの高い患者に対して、研究協力のためのリクルートを募り、約30名の患者をエントリーする予定であったが、定期手術枠の減少にともない、研究対象者がそもそも減っている。加えて、同意取得のための研究助手などが感染リスクを軽減するため病院への入室が制限されていることもエントリーが進まない理由の一つである。研究2については、緊急事態宣言に伴い東京在住の研究協力者で深層学習の専門家が研究を取り扱う病院に来院できず、解析を勧めることが困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後更なる研究を推進するために下記の施策を行う。 研究1せん妄予測のためのベッド環境の開発 コロナウイルス感染症に伴い、病院機能を制限しているため、若干の遅れが生じている。コロナウイルスワクチンの接種が研究責任者・協力者において完了したため、今後はエントリーをすすめることで、研究期間内に概ね目標症例数に達することが予測される。引き続き、病院内・診療科内連携を行いながら、研 究参加のリクルートを行っていく。 研究2 医療事故データにおけるAIを用いた解析 今年度は薬剤におけるデータ解析の対象を広げ、採血データやバイタル等を含めた解析を実施する。また、せん妄の予測の精度を高めるために、電子 カルテに記載されているテキストデータを用いて、更にせん妄を予測の精度を向上させることができるかどうか検証を行う。
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Causes of Carryover |
研究進捗で報告したように、2020年度のコロナ禍に伴う病院体制の変更、及び緊急事態宣言に伴う研究協力者による解析が困難であったことから、研究計画に遅れが生じ、次年度の研究を継続する必要性がでたため。
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