2023 Fiscal Year Annual Research Report
せん妄に対する医療事故予防:AIとセンシング技術による早期発見システムの構築
Project/Area Number |
19K24235
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
久保田 陽介 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (70787431)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2024-03-31
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Keywords | せん妄 / 医療事故 / 転倒 / 点滴自己抜去 |
Outline of Annual Research Achievements |
せん妄は、特に高齢の入院患者に高い頻度で発症するが、判断力の低下や落ち着きのなさから、転倒や転落、点滴やチュー ブ類の抜去などの様々な医療事故に直結する。これらは、治療中の疾患の悪化、施設入所や 死亡率の上昇など深刻な影響をもたらすが、せん妄の早期発見は、多くの医療者にとって極めて 困難であることが知られている。研究では、医療事故を予防する目的で、生体センサと人工知能によって非侵襲的な 自動せん妄早期発見システムを構築することを目的とした。 研究1 せん妄予測のためのベッド環境の開発し た。ベッド下圧力センサをベッド周囲に設置し、センシングできるベッド環境を作成した。研究2 医療事故データにおけるAIを用いた解析:患者のデータ予測モデル抽出するため転倒転落群・点滴自己抜去群を抽出し、予測モデルのアルゴリズムを作成した。入院時点での薬剤別利用状況において、自己抜去に関する正解率は75.6%、 AUCは0.72、転倒・転落に関する正解率は79.8%、AUCは0.65であり、臨床応用が可能なレベルであった。準備因子を数えるなどで、せん妄の発症を予測する研究はこれまでにもあるが、せん妄による医療事故まで予測する研究はこれまでほとんど行われてきていなかった。しかし、本研究結果の成果においては、AIによる解析を 用いることによって、入院時点での医療事故の予測に貢献できることが判明した。また、センシング技術を用いることによって、入院から入院中のデータをリアルタイムで観察することで、せん妄による医療事故を予測する 示唆が得られている。せん妄により医療事故は、入院する患者の様々な悪いアウトカムにつながることが知られており、今後はこれらの軽減に貢献できる可能性があると思われた。
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