2020 Fiscal Year Research-status Report
疼痛治療新規ターゲットとしての縫線核ドパミンニューロン群
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19K24241
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
堀 佳江 金沢医科大学, 医学部, 特定技術員 (00845068)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 疼痛 / ドパミン / 縫線核 / 中脳水道灰白質 |
Outline of Annual Research Achievements |
疼痛治療の革新には、痛覚受容・調節のメカニズム解明が不可欠である。中枢性の疼痛制御の場として、これまでに分界条床核(BNST)や扁桃体中心核(CeA) が報告されているが、この両者は縫線核ドパミン(DA)ニューロンから強い投射を受けている。本研究の目的は、これまであまり注目されてこなかった縫線核DA ニューロンが、疼痛に関わる脳領域BNST/CeAの活動をどの様に調節し、疼痛を制御しているのかを明らかにする事である。今年度はCeA及びBNSTへ投射をもつDAニューロンの詳細な解剖学的同定を目指した。結果、縫線核領域である、PAG、DRそしてCliに存在するDAT、TH、VIP、VGlut2ニューロンからの投射がみられた。BNSTとCeAへ投射をもつニューロン群の分布は相同ではなく、BNSTに投射を持つ群は縫線核領域後方に比較的多く見られ、CeAに投射を持つ群は前後に広く分布していた。また6-OHDAを用いて縫線核領域DATニューロンを脱落させたところ、BNST/CeAの領領域でTH、DAT、VIPのシグナル低下が観察された。この結果は主に縫線核領域DAニューロンがBNST/CeA領域でのDA線維の起始であることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に縫線核領域DA系の特徴解析が進んでいる。特にDAT、TH、VIP陽性ニューロンのサブタイプごとの差が見えてきていることは興味深い。
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Strategy for Future Research Activity |
当初縫線核領域のDATニューロンは均質な集団だと想定していたが、予想外に複雑な構成であることが分かってきた。この異なる集団の機能は当然異なることが予想されるので、機能的な差異を生理学的手法や行動実験で確認していく。
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Causes of Carryover |
COVID-19蔓延により一部の研究の遂行に遅れが生じた。全体としては順調に進んでいるが、今年度に実施できなかった実験を次年度に遂行する。
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