2020 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト常在微生物叢におけるCRISPRの多型性を応用した新規個人識別法の開発
Project/Area Number |
19K24245
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
豊間根 耕地 科学警察研究所, 法科学第一部, 研究員 (70845362)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 個人識別 / 微生物叢 / CRISPR |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に採取した4人分の皮膚スワブに加えて新たに1名から皮膚スワブを採取し、合わせて計5人分の皮膚スワブから抽出したDNAについて、微生物叢中のCRISPRを次世代シーケンサーにより解析した。また、同一被験者から約2ヶ月の間隔を開けて採取した皮膚スワブについても新たに解析を行った。解析対象のCRISPRは前年度に公開データの情報科学的分析により選定した3種類のCRISPRを用いた。PCRによりスペーサー配列の増幅を行い、増幅したスペーサー配列について、次世代シーケンサーMiSeqにより配列情報を取得した。得られたデータについて、微生物叢解析パッケージQiime2による多様性解析を行った。 CRISPR中のスペーサー配列について、組成情報の試料間差異を示すβ多様性指数(Bray-Curtis非類似度)を計算したところ、皮膚常在細菌叢に含まれるスペーサー配列のβ多様性は個人間で大きく、個人内では小さい傾向を示した。このことから、皮膚常在細菌叢中のCRISPRの多様性は高い個人特異性を示すと考えられる。また、間隔を開けて採取した試料についても、同一個人内では低いβ多様性を示したことから、CRISPRのスペーサー配列の個人内変動が、個人間変動よりも低い傾向が示された。 以上の結果はCRISPRのスペーサー配列の多様性が新規個人識別法開発における有用な指標となる可能性を示唆している。今後更なる検証を進めることで、微生物叢解析による個人識別が将来的に可能になるものと期待される。
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