2019 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of detection system for arthropod-borne orthobunya virus and surveillance in wild animals.
Project/Area Number |
19K24246
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
河原 円香 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 研究員 (80847559)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 人獣共通感染症 / オルソブニヤウイルス / 節足動物媒介性ウイルス / 野生動物 / 血清調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
節足動物媒介性の人獣共通感染症ウイルスであるオルソブニヤウイルス(OBVs)について、ヒトに病原性を示すOBVsの国内の野生動物における感染状況の調査を目的とする。初めに複数種のヒトに病原性を示すOBVsを認識するモノクローナル抗体を作製し、その抗体のOBVs間の交差反応を調べる。このモノクローナル抗体を用いて様々な動物種に利用可能な競合ELISA系を確立する。次にいくつかの地域で採取された野生動物の血清中のOBVsに対する抗体を検出し、ヒトに対する潜在的な感染源となりうる野生動物におけるOBVsの感染状況を調査する。 本年度は初めに複数のOBVsをVero細胞やBHK細胞など複数の細胞に感染させて増殖を比較し、それぞれのウイルスの増殖条件等を検討した。 また異なる三種類の血清群より一種類ずつ選んだOBVs(オロプーシュウイルス: OROV、ジェームスタウンキャニオンウイルス: JtCV、ブニヤムウェラウイルス: BUNV)に対するポリクローナル抗体・複数のOBVsの核蛋白質(NP)を認識するモノクローナル抗体の作製、またELISAによるOBVs検出系の構築に取り組んだ。先行研究により複数のOBVsについて組換えNPが得られなかったため、OROV・JtCV・BUNVそれぞれの精製粒子を抗原として抗体の作製・スクリーニングを行った。 現在OROV・BUNVのNPに対するモノクローナル抗体を得られており、他のOBVsに対する交差性の確認を行っている。また競合ELISAの系構築の前段階として、複数のOBVs感染細胞を抗原として検出系の検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
増殖条件の異なる複数のOBVsそれぞれについて、研究に使用可能な状態に調整することについては想定していたよりも時間を必要とした。また当初の予定ではモノクローナル抗体および競合ELISAの抗原として組換えNPを用いる予定であったが、精製したウイルス粒子を用いる方法に切り替えマウスに対する抗体作製についても検討したため、モノクローナル抗体を作製する期間がずれ込んでいた。 当初の予定から変更する部分が多くなったものの必要なモノクローナル抗体やELISA抗原は得られており、感染状況の調査を遂行するための材料・検出系の準備は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトに病原性を示すOBVsとして選択した三種類の血清群のうち、現在カリフォルニア血清群のNPに対するモノクローナル抗体のみ得られていない。一方他の血清群のNPに対しては検出可能なモノクローナル抗体を入手している。当初は全ての血清群に対するNP認識モノクローナル抗体を作製する予定であったが、現在JtCVのNPに対するモノクローナル抗体を作製している。このモノクローナル抗体が得られ次第、これらの抗体を精製・標識し、混合することで競合ELISAの系に使用することを計画している。 この競合ELISAの系を確立した後、野生動物血清を用いて調査を行う。
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Causes of Carryover |
年度末に予定していたモノクローナル抗体のスクリーニング~精製の工程が遅れ、消耗品・試薬の発注が遅れたため。 予定より多くのモノクローナル抗体を精製する必要が生じたため、消耗品・試薬について次年度分と合わせて2019年度分の交付金を使用する。
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