従業員の主観的キャリアの構築に着目した新たな職業性ストレスモデルの定量的評価

2019 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 19K24248
• Research Institution: The Health Care Science Institute
• Principal Investigator: 横内 陳正 公益財団法人医療科学研究所, 研究員育成委員会, 研究員 (70845875)
• Project Period (FY): 2019-08-30 – 2021-03-31
• Keywords: 労働者 / 職業性ストレス / 仕事の経験 / メンタルヘルス / キャリア

Outline of Annual Research Achievements

本研究課題の目的は，職場の心理社会的ストレス要因と従業員の精神的健康の関連が，従業員のキャリアを通じて形成・再形成される仕事や自己の捉え方によってどのように異なるのかを明らかにすることである。本研究課題は2部構成となっており，第1部では，文献調査とインタビュー調査を通じて，従業員によって経験される「仕事や自己の捉え方」の概念化と操作化を行い，それを用いて仮説の形成と質問紙の設計を行う。第2部では，質問紙調査の実施と定量的なデータ分析を通じて，仮説を検証する。
令和元年度は，第1部に相当する「仕事や自己の捉え方」の概念化と操作化，およびそれを用いた仮説の形成と質問紙の設計を目的として，文献調査とインタビュー調査を実施した。インタビュー調査は，公益財団法人医療科学研究所倫理審査委員会の承認を受け（承認番号：2019-1），民間企業に勤務する技術系の従業員5名を対象に行われた。インタビュー調査では，対象者のキャリアのなかで節目となるような出来事，もしくは印象に残るような出来事を中心としたエピソードをデータとして収集した。分析では，これらの出来事によって，対象者による仕事や自己の捉え方がどのように変化したかに焦点を当てて，データのコーディングや既存の研究結果との比較を行った。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

令和元年度は，研究課題の第1部として計画していた文献調査とインタビュー調査，および調査に基づく仮説の形成と質問紙の設計を行っており，おおむね順調に進展している。

Strategy for Future Research Activity

令和2年度は，当初の計画通り，研究課題の第2部に相当する質問紙調査の実施と定量的なデータ分析を通じた仮説検証を行う。なお，調査に際して留意すべき点として，新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い，調査対象施設である事業所で在宅勤務が導入されるなど，調査対象者の職業特性に新たな要因が加わっていることが挙げられる。仮説を検証するにあたって，仮にこれらの要因の調整が必要であると判断される場合には，質問紙に新たな項目を追加することで対応する。

Causes of Carryover

次年度使用額が生じたのは，主に計画していた物品（学術書等の設備備品や印刷紙等の消耗品）の購入を後ろ倒しにしたことに由来する。令和2年度は，当初の使用計画に加えて，令和元年度に予定していた物品の購入も行う予定である。