2019 Fiscal Year Research-status Report
G4P[6]ブタロタウイルスのヒトへの種間伝播と適応過程の解明
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19K24260
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
金子 美穂 (後藤美穂) 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (50599909)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | ロタウイルス / 種間伝播 / G4P[6] / ベトナム / 急性胃腸炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、世界各地において動物由来のロタウイルスがヒトから相次いで検出されているが、これらは動物ロタウイルスに特徴的なG遺伝子型・P遺伝子型の検出を契機に発見されることが多い。一方、G4P[6]ブタロタウイルスはヒトロタウイルスにも一般的に見られる遺伝子型をもつことから注目を集めてこなかったが、研究代表者は、アジアにおいてはヒトから検出されるG4P[6]ロタウイルスの大部分がブタからヒトへと種の壁を越えて伝播したブタロタウイルスである可能性を見出した。 本研究では、2015年から2017年にベトナムの下痢症患児から採取した糞便中に含まれるロタウイルスの遺伝子型を決定し、G4P[6]株を同定する。続いて、それらの株の全ゲノム配列を決定し、分子系統解析を行うことにより、1) ヒトのロタウイルス感染におけるG4P[6]ブタロタウイルスの寄与を評価すること、2) G4P[6]ブタロタウイルスの種間伝播の様式とヒトへの適応過程を明らかにすることを目的とする。 今年度は、2015年下期から2017年上期の2年間にベトナム北部および中部の下痢症患児より採取されたロタウイルス陽性糞便検体のうち、未解析だった345検体からRNA抽出を行い、RT-PCRによりロタウイルスのG遺伝子型・P遺伝子型の判定(G-Pタイピング)を行った。これにより、既にG-Pタイピングが終了していた907検体と合わせて1252検体中のロタウイルスのG-P遺伝子型が明らかになった。このうち、G4P[6]株は26株(2.1%)だった。また、G4P[6]株と遺伝的関連をもつ可能性が考えられる株として、G4型をもつP[8], P[4]株、P[6]型をもつG2, G3, G5, G9株を同定した。今後はこれらの株の全ゲノム解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始時に研究協力者と議論を行い、役割分担やタイムスケジュール等について計画を立てた。そのため、その後の研究を円滑に遂行することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
G4P[6]株およびその関連株(G4あるいはP[6]遺伝子型をもつ株)の全ゲノム配列を決定する。その後、遺伝子分節毎に分子系統解析を行い、G4P[6]ブタロタウイルスがウイルス粒子丸ごとの形でブタからヒトに種間伝播しているのか、あるいはリアソートメントによりヒトロタウイルスの遺伝子分節を獲得しているのか、また、ヒトからヒトへの感染を起こしているのかを明らかにする。
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Causes of Carryover |
遺伝子解析に要する費用が当初の予定よりも少なかったため、次年度使用額が生じた。 次年度は主に次世代シークエンサーの使用に必要な物品等の購入に使用する予定である。
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