2019 Fiscal Year Research-status Report
大規模災害後のポジティブな心理的因子と生活習慣病との関連に関する疫学及び介入研究
Project/Area Number |
19K24261
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
江口 依里 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (60635118)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 笑い / 生活習慣病 / 循環器疾患 / 大規模災害 / 疫学 / 介入 |
Outline of Annual Research Achievements |
テーマ1.東日本大震災の被災地域における笑い等のポジティブな因子と生活習慣病との関連についての疫学的検討について、我々は、大規模災害後に笑いが多い群では生活習慣病及び心臓病を有している割合が低いことを横断的に明らかにした。その結果、高血圧、糖尿病、脂質異常、精神疾患についてあまり笑わない群に対して笑う群では年齢・多変量調整オッズ比のいずれも低く、その関連は男女ともに認められた。がんについて関連は認められず、脳卒中は年齢調整オッズ比にのみ、心臓病は女性の多変量調整オッズ比以外について関連が認められた。多変量オッズ比(95%信頼区間)は心臓病の全体で、0.83(0.73-0.94)であった。さらに、大規模災害後に笑い等のポジティブな因子が脳卒中及び心臓病の発症及び死亡に与える影響について縦断的に検討した結果、平均追跡期間3.15年の間、1,045人が死亡または異動し、1,662人が脳卒中又は心臓病を発症もしくは原因で死亡した。あまり笑わない群に対して笑う群では心臓病発症・死亡の年齢調整、多変量調整ハザード比がいずれも低く、多変量ハザード比は0.82(0.66-1.00)であった。脳卒中の発症・死亡については有意な関連は認められなかった。さらに、うつ症状と心臓病との関連は、笑っていない群にのみ認められた。うつ症状がなく、ほぼ毎日笑う人では、うつ症状があり、ほぼ毎日笑わない人と比べて心臓病の発症・死亡リスクが低下し、多変量ハザード比は0.68(0.51-0.91)であった。笑いの頻度が高い場合には、大規模災害後の生活習慣病の有病や発症、死亡のリスクが低下することが明らかになり、今後も今後追跡期間の延長等詳細に検討する。テーマ2.東日本大震災の被災地域における笑い等のポジティブな因子を用いた無作為化介入研究については感染予防のために開始できなかったため、今後進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テーマ1については予定通り、横断研究と縦断研究のいずれも上記記載の通り順調に進捗している。テーマ2については、介入研究のため、感染予防のために進められておらず、今年進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
テーマ1については、今後論文の執筆を進める予定である。テーマ2については、今年介入研究を進め、学会発表及び論文執筆を進める。
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