2019 Fiscal Year Research-status Report
在宅療養の拡充に向けた退院時の食生活支援の在り方に関する検討
Project/Area Number |
19K24263
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Research Institution | University of Niigata Prefecture |
Principal Investigator |
玉浦 有紀 新潟県立大学, 人間生活学部, 助教 (60845915)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 高齢者 / 退院時支援 / 食事管理 / 意思決定 / 地域包括ケアシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国で、在宅医療が推進されている中、本研究では、慢性疾患を有する患者が入院中のみでなく、地域の生活でも個々人の適した方法で、「食事」をはじめ自己管理を継続し、病態をコントロールしていくための支援法を提案することを目指している。 具体的には、地域在住の高齢者、退院時栄養食事指導を受ける患者、入院医療機関で退院時栄養食事指導を行う管理栄養士を対象に、質問紙(アンケート)調査、及び、インタビュー調査を実施し、「支援の実態(実際に行われていることや、その課題)」「支援に対するニーズ」を整理する。 初年度は、調査遂行に向け、対象地域、施設との調整・打ち合わせを重ね、質問紙、インタビューガイドの項目を対象者(地域在住の高齢者、退院時栄養食事指導を受ける患者、入院医療機関の管理栄養士)別に検討し、決定した。また、対象者の選定や、調査手順に関しても確認し、調査開始段階まで進めた。 なお、本研究の先駆けとして実施した「高齢化が進む地域でのフレイル実態調査」についても、データ解析、論文発表を行い、本調査の項目選定に活用した(玉浦ら, 栄養学雑誌, 78(3), p89-101)。 次年度以降、調査を遂行して結果解析・報告を進めることで、入院医療機関、在宅(地域)で患者と関わる管理栄養士など専門職が、どのようなことに重点を置き支援することが求められるか、どのように連携していくことが望まれるか提示する予定である。最終的に、管理栄養士(専門職)向けの媒体を作成して、配付または公開することで、退院時支援の栄養食事指導を円滑に進めることに活用できる形を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、初年度中に研究計画、研究準備(質問紙・インタビューガイドの作成、対象地域・施設との打ち合わせ)を経た上で、質問紙調査を実施し、一部対象者では、インタビュー調査まで進める予定であったが、現状、調査の遂行にまで至らなかった。 その理由として、「調査項目の選定に時間を要したこと」、「コロナウイルス感染症拡大状況による調査時期の延期」が挙げられる。 調査項目の選定では、本研究のアウトプットの形式を見据え、先行研究とも照合させて、対象の地域・施設の専門家と話し合いを重ねた。管理栄養士のみでなく、対象地域の実態を知るケアマネジャーなどにも意見を求め修正を重ねたことから、複数回の打合せが必要となり、当初予定よりも時間を要した。しかしながら、項目選定を丁寧に実施できたことは、本調査で得られるデータの質の向上につながることが期待され、当該理由による遅延は妥当であったと考えている。 また、調査項目・手順を決定した直後に、コロナウイルス感染症の拡大状況から、調査開始時期を一旦延期とした。本研究の対象者は、感染時、重症化リスクが高いことも想定されることから、次年度以降、感染状況を注視しながら、適時に進行させたいと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降、コロナウイルス感染症の状況を確認しながら、調査遂行、データ解析、結果公表を進める予定である。調査は、質問紙(アンケート)調査を対象者ごと(地域在住の高齢者、退院時栄養食事指導を受ける患者、入院医療機関の管理栄養士)に順次実施した後、同対象者で同意を得られた一部の者には、半構造化インタビュー調査を行うことで、質問紙の回答内容を補足し、より具体的な実態・ニーズを把握する。 これらデータを解析した後、全体の結果を対象者にフィードバックすると共に、学会・論文等で公表する。また、最終的には、退院時支援の栄養食事指導を円滑に進めることを目的に、管理栄養士(専門職)向けの媒体を作成し配付、または公開する予定である。
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Causes of Carryover |
本研究遂行に関して、主に予算が必要となる事項(研究過程)は、「質問紙(アンケート)調査の遂行」「インタビュー調査の遂行」「結果公表(学会・論文発表)」及び、「実践へのフィードバック資料(媒体)の作成」である。 初年度に実施予定であった「質問紙(アンケート)調査の遂行」と「インタビュー調査の遂行」の時期が延期となり、その予算額が、次年度使用額として生じた。当該当額は、次年度以降、調査遂行にあたり、予定通りの額で使用を見込んでいる。
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