2020 Fiscal Year Research-status Report
慢性肝疾患患者における身体活動によるサルコペニア予防に関する研究
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19K24265
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Research Institution | Sapporo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
大橋 和貴 札幌保健医療大学, 保健医療学部, 助教 (20848527)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 骨格筋量 / サルコペニア / 慢性肝疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、予定した身体活動量のデータ収集ができなかったため、一部研究計画を変更し、サルコペニアの診断項目の1つである骨格筋量の評価について研究を実施した。日本肝臓学会により肝疾患におけるサルコペニア判定基準が発表されて以降、肝疾患患者のサルコペニア診断に広く用いられている。しかし、コンピュータ断層撮影法(以下、CT)による筋肉量の評価およびその基準値の妥当性および信頼性について、検討の余地が残されている。そこで、X線骨密度測定装置(以下、DEXA)を用いて測定された筋肉量を参照値としてCTでの筋肉量の新たな基準値を提案した。なお、今回の筋肉量はCTでは第3腰椎レベルの骨格筋断面積を身長の二乗で除した値を用いた。DEXAでは、四肢の筋肉量を身長の二乗で除した値とした。 最終的に589人(男性312人、女性277人)を登録し、分析を行った。新たなCTの基準値は男性45.471㎝2/m2であり、女性35.170cm2/m2であった。診断能を示す曲線下面積はそれぞれ0.863、0.846と中等度の診断能を示した。既出のサルコペニア判断基準における基準値(男性<42cm2/m2、女性<38cm2/m2)と比較して、男性では基準値が上昇し、女性では低下した。したがって、男性では過剰評価、女性では過少評価する可能性を是正する結果となった。日本では、CTを所有する医療施設が極めて多く、CTによる骨格筋量の評価は利便性が高く、他の目的で撮影された画像であっても腹部まで撮影されていれば診断することが可能であり、有用性が高い。しかし、本研究結果が示したように、妥当性および信頼性の基準値の確立には検討の余地が残されており、さらなるエビデンスの蓄積が求められる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、身体活動量の計測が困難となったため、当初予定したデータの収集が実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度中に、安全にデータ収集を行うことが困難であることが濃厚であるため、研究計画を変更し、肝疾患患者のサルコペニアの評価や介入の普及状況について検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、学会の中止や調査の中止があり、予定された分の旅費を使用しなかった。調査用の物品も購入していないために次年度使用額が生じている。 次年度は、論文掲載費ならびに学会発表旅費としての使用を計画している。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] 慢性肝疾患におけるL-carnitineの骨格筋量、骨密度への有用性2020
Author(s)
大橋 和貴, 石川 達, 帆苅 環, 星井 旭美, 鈴木 光幸, 野口 博人, 廣澤 宏, 植木 文, 小林 美樹, 廣澤 詩織, 水科 美紀, 杉山 かえで, 今井 径卓, 吉田 俊明
Organizer
第28回日本消化器関連学会週間(JDDW2020)
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