2019 Fiscal Year Research-status Report
オーラルフレイル・口腔機能低下への新戦略-予知性の高い早期リスク判別法の確立-
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19K24267
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
町谷 亜位子 明海大学, 歯学部, 助教 (30848916)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 唾液 / 歯周疾患 / 口腔内細菌 / 摂食・嚥下 / 口腔機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔内環境と全身疾患の関連性は多く指摘されている。本研究では、口腔疾患の兆候を迅速に探知可能なスクリーニング法を模索するため、唾液検査に着目した。2019年度では、研究計画に沿って、数ある唾液検査法の中から、多項目・短時間唾液検査システム AL-55 (Salivary Multi Test; LION) を選定した。本システムは、5分間で口腔内の疾患リスク因子を判定できることが特徴である。う蝕関連項目(う蝕病原菌、pH、酸緩衝能)、歯周病関連項目(白血球、タンパク質)、口腔清潔度関連項目(アンモニア)の6項目の唾液因子について、試験紙の色調変化を反射率として定量化することができ、従来の唾液分析法と高い相関性が認められている。現在、確立したプロトコールに従い、サンプルの採取と唾液検査システムによる測定を行なっており、100名程度の被験者の結果が得られている。現在までのデータでは、歯周病の重症度や歯周病検査項目に対していくつかの唾液因子との相関が認められ、唾液検査システムを用いることで非侵襲的に歯周疾患を評価できる可能性が示唆された。また、複数の唾液因子において年齢別の傾向が認められているが、歯周疾患の影響を少なくし、年齢別変化を抽出するためには、被験者数を大幅に増やす必要があると考えている。また、口腔機能低下症に関する指針をもとに、新たに口腔機能精密検査のための機器の導入を行い、プロトコールを確立した。本学倫理審査委員会へ申請を行い、承認を得た。このことから、う蝕、歯周病といった従来の口腔疾患だけではなく、口腔機能疾患の評価を行うことが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多項目唾液検査システムを用いた、唾液因子の解析と歯周疾患検査から、いくつかの唾液因子との相関が認められており、非侵襲的に歯周疾患を評価できる可能性が示唆された。また、複数の唾液因子において年齢別の傾向が認められており、唾液因子から加齢変化を評価できる可能性もあると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の結果から、多項目唾液検査システムを用いた口腔疾患の非侵襲的スクリーニング評価の可能性が示唆された。よって、研究計画に沿って、被験者数を増やし、より正確な基準値の設定を行う予定である。また、口腔機能低下症の評価も可能となったため、次年度以降では、口腔の機能疾患と唾液因子の関係にも着目し、検証を進める。2019年度は、一定の進捗をみることが出来たが、年度末より新型コロナウィルス感染症の影響で、新たなサンプル採取が困難な状況となっており、今後も計画の大幅な変更が懸念される。現在のデータの詳細な解析と並行して、既存の採取データの取得も検討する。
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Causes of Carryover |
検査キットの納品が遅れ、 2019年度の研究費に未使用額が生じたが、次年度に納入されるため、今年度行う予定の研究計画と併せて実施する。
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Research Products
(3 results)