2019 Fiscal Year Research-status Report
爪・頭髪の同位体分析による食習慣情報を伴う疾病リスク評価法の確立:栄養疫学的検討
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19K24296
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
白井 禎朗 金城学院大学, 生活環境学部, 助教 (40844410)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 食習慣推定 / 同位体分析 / 疾病リスク評価 / 爪 / 頭髪 / 栄養疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
食事調査法の多くは煩雑であるため、特に子供や高齢者に実施するのは難しい。また主観的であるため、記録や記憶に基づくバイアスや誤差を含むという問題点がある。近年、頭髪に含まれている炭素・窒素の安定同位体組成と食品・栄養素摂取との関連について報告が増えてきているが、栄養疫学的な手法で検討された研究はほとんどない。 本研究では、爪および頭髪の炭素・窒素・硫黄の安定同位体組成を用いた簡便・非侵襲的・客観的な食習慣推定の手法の確立を目指している。さらに、生活習慣病リスクとの関連を評価することで、食習慣情報を伴うスクリーニング検査として応用することを最終的な目的としている。これを達成するための第一段階として、研究基盤と栄養疫学的なエビデンスを構築する。
2019年度は、所属機関の研究倫理審査委員会の承認を得て、女子学生123名を対象にして調査を実施した。頭髪の安定同位体組成の経時変化やそのタイムスケール、個人間・個人内変動比、頭髪染料やマニキュアの影響、そして安定同位体組成と食品・栄養素摂取との関連を解析するため、サンプル分析・データ整備・データベースの構築を進めている。同時に、ヒトの爪・頭髪の安定同位体組成と食品摂取、生活習慣病関連指標、疾患との関連について文献を収集して、情報を整理している。
2020年度は、爪の同位体組成の季節変動を検討するために一部の対象者に追跡調査を行う。また、同位体組成と生活習慣病リスクとの関連を評価するために、地域高齢者を対象とした調査および患者サンプルの分析を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は研究倫理審査委員会の承認を得て、女子学生を対象として横断的に調査を実施することができた。また、文献レビューを通じて、頭髪の安定同位体組成に関する国際的な地域差・国内での地域差およびそれに関連する食品や生活習慣病について検討することができた。
一方、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、予定していた打合せを中止し、また、高齢者を対象とした横断的・縦断的調査の実施を延期した。そのため、研究の進捗はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は新型コロナウイルスの感染拡大を防止するための対応が要請されている。そして、2020年4月の時点では事態が収束する兆候はみられていない。在宅勤務を要請されている状況でのサンプル分析は不可能なため、状況に応じて可能な限り分析を進めていくが、今年度中にデータベースを整備するのは極めて困難であることが予想される。また、予定していた対面での調査については、社会情勢に応じて延期・中止の対応を含めて可能な限り実施することを検討していく。
2020年度の研究の推進方策として、既に調査を実施した一部の対象者への追跡調査について、メール・郵送での調査に変更することを計画している。研究倫理審査委員会に研究計画の変更について申請をして、承認を得てから調査を実施する。また、本研究に関連する文献を収集して、知見を整理し、データをまとめていく。
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Causes of Carryover |
2019年度は新型コロナウイルスの影響により、会議や調査が中止・延期となった。それに伴い、本研究の遂行について計画が変更されたため、いくつかの費目で繰越金が発生した。
2020年度は繰越金を含む助成金を、物品費(文具、書籍、ソフトウェアなど)、旅費(打合せ、調査、資料収集など)、人件費・謝金(調査対象者への謝礼品など)、その他(外注費、印刷費、英文校正費など)に使用する予定である。
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