2020 Fiscal Year Research-status Report
爪・頭髪の同位体分析による食習慣情報を伴う疾病リスク評価法の確立:栄養疫学的検討
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19K24296
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
白井 禎朗 金城学院大学, 生活環境学部, 助教 (40844410)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 食習慣推定 / 安定同位体分析 / 疾病リスク評価 / 爪 / 頭髪 / 栄養疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
食事調査法の多くに自己申告や主観的評価という重大な限界点がある。本研究は「爪および頭髪の炭素・窒素・硫黄の安定同位体組成」を用いて、簡便・非侵襲的・客観的な食習慣推定の手法を開発するために、研究基盤と栄養疫学的なエビデンスを構築することを目的としている。
2年目の2020年度は、爪・頭髪の安定同位体組成と食品・栄養素摂取量の季節変動を検討するために、2019年度12月・1月に実施した調査の対象者から、35名について4月、7月、10月に追跡調査を実施した。2020年度4月はCOVID-19による緊急事態宣言が発令されていたため、電子メールを使用して遠隔での調査を実施した。
1)安定同位体組成の分析:爪に関して測定値の変動要因(各指、左右差、洗浄の有無等)を検討するための分析を開始して、データベース化を進めている。測定値の変動要因を検討することで爪を採取する指および分析方法の確立を目指す。また、個人間・個人内変動比を明らかにすることで個人差の検出が可能かどうかを検討する。これには安定同位体組成の測定値が疫学研究に応用可能であるかを明らかにするという意義がある。 2)食習慣の季節変動:4季節の食品・栄養素摂取量のデータを整理して縦断的に解析を行い、エネルギー摂取量と6つの食品分類(炭素・窒素・硫黄の安定同位体組成に関連することが予想される砂糖・菓子類、魚介類、肉類を含む)の摂取量について、季節変動があったことを明らかにした。食習慣の季節変動の解析は、安定同位体組成と食品摂取量との関連を検討するために必要であり、個人の食習慣の推定可能性を検討していくうえで重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19の流行による移動・行動制限により、分析についての打合せや新規の調査を実施できなかったため、研究の進捗は遅れている。よって研究期間を1年延長した。
2019年度に実施した調査の一部の対象者について、遠隔での調査や十分な感染対策を講じた調査により追跡をして、食品・栄養素摂取量の季節変動を検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は安定同位体組成の測定値の変動要因について解析をして、爪・頭髪の同位体分析の手法を決定していく。また、2019年度に横断的に調査した対象者について、新たに4季節で調査を実施して、爪・頭髪の安定同位体組成と食品・栄養素摂取量の縦断的なデータを蓄積する。同時に、2019年度調査の横断的なデータベースの構築を目指す。横断データを用いて安定同位体組成と食品摂取量との関連を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19の感染拡大防止に伴い、サンプル分析についての打合せや新規の調査を実施することができなかったことが主な理由である。
1)感染対策を講じたうえで、可能な範囲で新規の調査を実施するための費用、2)分析・打合せの費用、3)解析した結果を公表するための費用として助成金を使用する予定である。
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