2019 Fiscal Year Research-status Report
軽度な高気圧酸素の環境を利用した免疫機能の向上方法の検討
Project/Area Number |
19K24304
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
竹村 藍 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ研究部, 契約研究員 (20845903)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 軽度な高気圧酸素 / 高強度運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
高強度運動によって、骨格筋における酸素需要が上昇することで心拍数を増大し、運動後には筋損傷の発生、酸化ストレスの増大、免疫機能の低下など、身体への様々な影響が認められる。特にアスリートにおける高強度トレーニングの実施後に生じるこれらの変化を防ぐことは、試合のパフォーマンスを上げるためにも重要である。 本研究では、軽度な高気圧酸素の環境 (1.3気圧、31%酸素) を利用して、高強度運動で低下した免疫機能を改善させられるかどうかを明らかにする。軽度な高気圧酸素の環境への滞在は、怪我や身体障害、高齢であっても任意の姿勢で滞在することができるので、身体への負荷なく利用することができる。2019年度は、高強度運動、及び軽度な高気圧酸素の環境への滞在による身体への影響を検討するために、まずは高強度運動後の血中酸素飽和度や心拍数が軽度な高気圧酸素の環境への滞在によってどのように変化するかを検討した。被験者は心拍予備量の75%の負荷で1時間にわたってペダリング運動を行い、その後、通常環境、または、軽度な高気圧酸素の環境に1時間にわたって安静座位で滞在した。その結果、軽度な高気圧酸素の環境に滞在した群では、運動直後と比較して、安静座位を開始してから30分後、60分後の血中酸素飽和度が有意に増加した。高強度運動後には安静時の約1.5倍だった心拍数は、その後1時間かけて安静時の1.3倍にまで低下した。軽度な高気圧酸素の環境への滞在させた群では、気圧が1.3気圧に維持された安静座位20分から40分後の平均心拍数が通常環境への滞在と比較して低下した。これらの点から、軽度な高気圧酸素の環境への滞在は、血中の酸素量を増大させることで、高強度運動後の高値な心拍数を低下させたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
軽度な高気圧酸素の環境への滞在による高強度運動後の免疫低下に対する影響を検討するうえで、はじめのステップとなる血中酸素飽和度や心拍への影響を明らかにすることができた。また、唾液に含まれる分泌型免疫グロブリンやコルチゾールの分析に向けて準備を進めることができている。研究は問題なく順調に進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、軽度な高気圧酸素の環境への滞在によって高強度運動後の免疫機能 (分泌型免疫グロブリンやコルチゾール) にどのような変化が生じるのかを明らかにする。高強度運動後に安静座位を行う環境として、通常環境と軽度な高気圧酸素の環境を設定する。高強度運動前、高強度運動後、環境下での安静座位後に唾液を採取する。ELISA法によって唾液に含まれる分泌型免疫グロブリンやコルチゾールの分泌量を分析する。
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Causes of Carryover |
論文掲載費として必要と考えていたが、2019年度中に採択されなかった。当該論文は2020年度の採択を目指しているため、2020年度に使用する予定である。
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