2020 Fiscal Year Annual Research Report
脂質環境応答により制御される形質細胞様樹状細胞の機能解析
Project/Area Number |
19K24307
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 周平 東北大学, 医学系研究科, 助教 (90851345)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | pDC / FABP5 / lipid metabolism |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度から引き続き、FABP5を介した脂質恒常性によるpDCの制御機構について解析を行った。形質細胞様樹状細胞 (pDC)は炎症促進性および炎症抑制性の両方の機能を有する、免疫応答に重要な自然免疫細胞である。FABP5欠損pDCは、定常状態において野生型pDCと同程度のToll-like receptor 7(TLR7)およびTLR9を発現するにも関わらず、リガンド刺激に対して、IL-6やI型インターフェロン(IFN-α、IFN-β)などの炎症関連遺伝子の発現が亢進した。一方で、免疫寛容性に作用するIL-10やTGF-βの発現には有意な差は認められなかったが、インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ (IDO1)が有意に減弱していることが明らかとなった。またこれらの遺伝子発現の亢進は、転写因子IRF7の発現亢進、NF-κBのサブユニットであるp65のリン酸化の亢進が原因であることを明らかにした。さらに、定常状態において共刺激分子であるCD40、CD80、CD86およびOX40分子の発現の差は2群間でないものの、腫瘍細胞であるB16F10メラノーマに培養上清にて刺激したFABP5欠損pDCではCD80、OX40分子の発現亢進が認められた。また、フラックスアナライザーによるミトコンドリアの機能評価を行ったところ、FABP5欠損pDCにおいて基礎呼吸能が減弱している可能性を見出した。これらのことから、FABP5によるミトコンドリアの脂肪酸β酸化を介したpDCの機能制御メカニズムが存在する可能性を示唆した。
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Research Products
(3 results)