2020 Fiscal Year Research-status Report
Optimal physical activity for secondary prevention in coronary heart disease: a multicenter prospective cohort study
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19K24311
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
足立 拓史 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 助教 (10849946)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 重症化予防 / 冠動脈疾患 / 身体活動量 / 心臓リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
冠動脈疾患は、経皮的冠動脈形成術(PCI)の進歩と救急医療の整備により救命率が飛躍的に改善した一方で、長期予後の改善が乏しい。その原因は、治療部位以外の新しい動脈硬化が進行し、局所の血行再建のみでは再発を抑制できないことにある。そのため、冠動脈治療後は薬物治療に加えて、根本的原因である生活習慣の改善が不可欠であり、身体活動の促進はその中核を成す。そこで本研究では、冠動脈再狭窄の予防に効果的な身体活動促進の在り方について多施設前向きコホート研究で検討することを目的とした。 循環器専門病院3施設でPCIを施行された75歳未満の患者を対象とし、退院後1ヶ月・3ヶ月の身体活動量を加速度計を用いて客観的に測定した。2020年12月に予定していた症例登録(n=806)を完了し、そのうち7割についてPCI後の身体活動量データを取得することができた。新型コロナ感染症の影響で症例登録に時間を要し、PCI後のイベント発生のフォローアップデータの構築には至っていない。そのため、PCI後の身体活動量の関連因子の探索、およびベースラインデータを中心とした分析を行った。 その結果、身体活動強度が一部の冠危険因子と横断的に関連し歩数の関連は弱いことが示唆された。尚、退院後3ヵ月の身体活動量には、退院後早期の身体活動量、診断名、冠危険因子などの多要因が独立して関連し、これらの因子を投入した線形回帰分析により予測可能であった。さらにPCI後の生活習慣改善の関心度の関連因子を調査したところ、医学的情報以外に、生活習慣改善に関するセルフエフィカシー、健康に関する価値観、ヘルスリテラシーなどが関連し、対象者の志向に応じたコミュニケーションの重要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染症の影響を受け、一時対象者の取り込みを中断したことや、感染症拡大下での研究体制の再整備を行ったことで当初予定したよりも症例登録に時間を要した。身体活動量の予測研究やベースラインデータを活用した分析は進んでいるが、冠動脈重症化リスクをアウトカムとした分析ができていないため、上記の進捗区分と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
症例登録および身体活動量調査のフォローアップは全例で終了した。現在は、PCI後の身体活動量の関連因子および予測モデルに関する論文化を研究協力者と進めている。また、PCI後の行動変容に関する基礎的データを収集することもできた。 一方、身体活動量とPCI後のイベント発生に関するデータ分析は進んでいない。新型コロナ感染症の影響でデータベース構築が遅れていることに加え、想定していたよりもイベント発生数が少ないことが原因となっている。横断的な分析により、身体活動量と冠危険因子の関連について詳細な検討を行うことで、冠動脈疾患の重症化予防に資する身体活動量(強度、時間)を提示することも念頭に分析計画を立案する。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の影響を受けて症例登録の完了時期が遅れた。そのため、主要な成果報告を2020年度に完了することができず、成果報告のための次年度使用額が生じた。
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Research Products
(7 results)