2020 Fiscal Year Research-status Report
施設入所高齢者における消化吸収率と体重変化の関連性
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19K24319
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西田 優紀 慶應義塾大学, スポーツ医学研究センター(日吉), 研究員(非常勤) (30845657)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | エネルギー吸収率 / 施設入所高齢者 / ボンブ燃焼計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、エネルギー摂取量、及び糞便尿中のエネルギーを測定することにより、意図しない体重減少を生じた施設入所高齢者の消化吸収率を明らかにすることである。 令和2年度は、本研究の着想のきっかけとなった過去のデータを用いて論文を執筆し、国際誌に採択された(Nishida, et al., Nutrients, 2020)。同論文により、施設入所高齢者における実際のエネルギー摂取量は、献立に記載されているエネルギーよりも200 kcal/日ほど小さいことが明らかとなった。その原因については、消化吸収率の低下が大きく影響している可能性があり、本研究課題の重要性を示唆する結果である。 令和2年度は、ボンブ燃焼計を用いたエネルギー吸収率に関するシステマティックレビューも実施しており、一次スクリーニングまで終えている。エネルギーの吸収率は、対象者が一定期間に摂取した食事の総エネルギー(Gross Energy Intake:GEI)とその間に排泄された糞便尿のエネルギー(Energy Loss:EL)をボンブ燃焼計により測定し、(GEI-EL)/GEI×100(%)により算出される。ボンブ燃焼計を用いて若年者と高齢者のエネルギー吸収率を同じ環境で比較した研究はいまだ行われていないため、加齢によるエネルギー吸収率の変化については、現状では明らかとされていない。若年~中年者を対象にした研究では、健常者のエネルギー吸収率は89.4~91.6 %であったことが報告されている。一方で、55~78歳の男女を対象に調査した論文に記載されているGEIとELの平均値を基にエネルギー吸収率を算出したところ、男性では約74%、女性では約77%であったことから、加齢の影響でエネルギーの吸収率が低下する可能性は十分にあると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度も新型コロナウィルスの影響で介護老人保健施設への入所が許可されず、測定を実施することができなかったため。 一方で、ボンブ燃焼計によりエネルギー吸収率を測定した研究に関するシステマティックレビューについては、PROSPEROへの研究計画書の登録を完了させている。現在は1次スクリーニングまで終えている状況であり、論文化に向けて着実に前進していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
システマティックレビューについては、MEDLINE、The Cochrane Library, CINAHL, Scopusの文献データベースを用いて、1973年から2020年までに報告されたヒト研究を検索した。現在は、検索式に該当した論文(2053件)の1次スクリーニングまで終えている。来年度は論文のフルテキストを取り寄せて2次スクリーニングから開始する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により本研究計画内容を一部変更したため、次年度使用額が生じた。次年度は、システマティックレビューのために必要な文献の収集費用、英文校正費用、論文投稿費用として研究費を使用する予定である。
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