2020 Fiscal Year Annual Research Report
エクオール鏡像異性体の骨代謝制御メカニズムの解明と有効性評価
Project/Area Number |
19K24321
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
田中 未央里 東京農業大学, 応用生物科学部, 助教 (00845505)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | エクオール / 骨代謝 / 破骨細胞 / 骨粗鬆症 / アポトーシス / 鏡像異性体 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに、培養細胞を用いた実験を行い、エクオール鏡像異性体が破骨細胞分化を抑制し、R体と比較してS体で強い作用を示すことを見出した。一方で、破骨細胞分化に関与する炎症シグナル経路 (JNK 1/2, NF-κB) の活性化に対する影響は、S体及びR体間で差がみられなかった。エストロゲンは破骨細胞のアポトーシスを促進すること、破骨細胞ではエストロゲン受容体αよりもβが強く発現し、(S)-equolはβへの親和性が高いことから、(S)-equolはエストロゲン受容体を介してアポトーシスを促進している可能性があると考え、検討を行った。その結果、成熟破骨細胞において(S)-equolのみcaspase-3/7活性を増強し、生存率を低下させることを明らかにした。 さらに生体内での効果を比較するため、閉経後骨粗鬆症モデルであるOVXマウスにエクオールのS体、R体、ラセミ体を皮下投与し、骨密度、骨代謝関連遺伝子発現に与える影響を検討した。その結果、OVXによる骨密度低下はS体投与により抑制された一方、R体及びラセミ体の骨量減少抑制効果は認められなかった。大腿骨における破骨細胞分化関連遺伝子発現についても、S体投与群のみ改善がみられた。また血中及び組織中のエクオール濃度を測定したところ、血中、脛骨、肝臓、腎臓において、R体投与群と比較してS体投与群で高値を示した。ラセミ体投与群の各組織中でも、S体の濃度がR体より高くなることが明らかとなった。現在これらの結果をまとめ、国際誌への投稿準備中である。
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