2019 Fiscal Year Research-status Report
暑熱環境下での持久的運動能力低下と身体冷却の関係-呼吸筋機能に着目して-
Project/Area Number |
19K24327
|
Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
刑部 純平 中京大学, 体育学研究科, 実験実習助手 (70844926)
|
Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
|
Keywords | 身体冷却 / 暑熱環境 / 呼吸筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
暑熱環境下での長時間運動によって、深部体温が過度に上昇すると、持久的運動パフォーマンスの低下や熱中症のリスクが増大するなど、身体に様々な悪影響を及ぼす。一方で、暑熱環境下での運動前や運動中に身体冷却をすることで、持久的運動パフォーマンスが改善することが報告されている。これまでの研究で、身体冷却によって持久的運動パフォーマンスが改善する要因は、深部体温や皮膚温の上昇の緩和、心臓血管系へのストレス緩和、温熱感覚や主観的疲労度の改善が関与していることが示唆されている。しかし、そのメカニズムの詳細は未だ明らかとなっていない。また、一般人と比較して暑熱耐性が高いとされるエリート長距離選手を対象として身体冷却の効果を検証した研究は多くない。 持久的運動パフォーマンス低下の要因の一つとして、呼吸筋の疲労が挙げられる。疲労した呼吸筋は、呼吸筋と活動筋との間で血液の奪い合いを引き起こし、運動パフォーマンスに悪影響を及ぼすと考えられている。これまでの研究で、特に暑熱環境下では中性環境下での運動と比べて、呼吸筋の疲労が生じやすいことが示唆されている。そこで、本研究では持久的運動能力に優れた選手を対象に、暑熱環境下での持久的運動時の身体冷却が呼吸筋機能に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。暑熱環境下でのスポーツ活動時における身体冷却が、運動パフォーマンスを改善するメカニズムの解明に貢献することを目標とする。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は持久的運動能力に優れた選手を対象に、暑熱環境下での持久的運動パフォーマンステストを実施した。身体反応の指標として、酸素摂取量や直腸温、皮膚温や主観的指標の変化を測定した。持久的運動能力に優れた選手を対象に、暑熱環境下での持久的運動時の基礎データを測定できた。そのため初年度の目標は、概ね達成できた。しかし、学内業務の負担が増加したことなどもあり、研究時間の確保に少々の困難が生じた。そのため、呼吸筋機能の測定までは実施できていない。また、学術大会にて研究成果を発表予定であったが、参加を予定していた学術大会が中止となったため発表できていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
持久的運動能力に優れた選手を対象として、暑熱環境下での持久的運動が呼吸筋機能に及ぼす影響を検討するための実験を開始する。高温環境下および中性温環境下での持久的運動時の身体反応の指標を測定し比較検討する。その後、身体冷却方法の違いが、持久的運動時の呼吸循環器系機能にどのような影響を及ぼすのかを検討するための実験を開始する。持久的運動能力に優れた選手を対象に、暑熱環境下において持久的運動を一定負荷強度で実施する。介入条件として、身体内部冷却と身体外部冷却の2つの種類を実施する。持久的運動時に呼気ガス分析機を用いて、呼吸循環器系機能にどのような反応の違いが生じるのか検討する予定である。 しかし、現在新型コロナウイルス感染症の影響で実験の目途が立っていないことが事実である。そのため、補助事業期間の延長も視野に入れている。研究活動再開の目途が立ち次第、迅速に実験を実施していく予定である。
|