暑熱環境下での持久的運動能力低下と身体冷却の関係-呼吸筋機能に着目して-

2023 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 19K24327
• Research Institution: Aichi Mizuho College
• Principal Investigator: 刑部 純平 愛知みずほ大学, 人間科学部, 助教 (70844926)
• Project Period (FY): 2019-08-30 – 2024-03-31
• Keywords: 暑熱対策 / 呼吸筋

Outline of Annual Research Achievements

暑熱環境下での運動前や運動中に身体冷却をすることで、持久的運動パフォーマンスが改善することが報告されている。身体冷却による皮膚温度の低下や温熱感覚の改善が、持久的運動パフォーマンスの改善に貢献している可能性が示唆されている。しかし、暑熱環境下における持久的運動時の身体冷却とパフォーマンス改善に関して、詳細なメカニズムは未だ明らかとなっていない。本研究では、暑熱環境下において負担が増大する呼吸筋機能に着目をした。本研究は、持久的運動能力に優れた大学生長距離走選手を対象に、暑熱環境下での持久的運動時の身体冷却が呼吸筋機能および持久的運動能力に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。しかし、コロナウイルス感染拡大の影響や研究代表者の所属する研究機関の移動などにより、2023年度に十分な実験を遂行することができず、2021年度に実施した予備実験で得られた研究実績より大きな進展はない。
なお、2021年度は、一般成人男性を対象に自転車エルゴメーターを用いて予備実験を実施した。室温35℃、相対湿度50%に設定した人工気象室において、合計60分間の一定負荷強度(60%VO2max)での持久的運動中に送風をする（風速5m/秒）条件と送風しない合計2条件を実施した。一定負荷での持久的運動後、呼吸筋機能の指標の一つである、吸気筋力を測定した。その後、一定負荷強度(80%VO2max)で疲労困憊に至るまで自転車漕ぎ運動を継続した。測定項目は、吸気筋力、直腸温、皮膚温（胸部、腕部、大腿部、下腿部）、皮膚血流量（腕部、胸部）、血中ヘモグロビン濃度、心拍数、呼気ガス、主観的運動強度、熱快適性であった。60分間の一定負荷強度運動後の吸気筋力は、送風していない条件において、送風した条件と比較して低い傾向であった。また、運動継続時間は、送風した条件において長い傾向であった。