2022 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋由来のIGF-Iが運動による脳の健康増進に及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
19K24330
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
横川 拓海 京都大学, 農学研究科, 助教 (80844323)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 骨格筋 / 脳 / 臓器連関 / インスリン成長因子1 / 情動 / 学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、成熟骨格筋由来のインスリン様成長因子1(IGF-I)が脳機能に及ぼす影響を検証するために、行動量・情動・学習に関わる行動解析を実施した。 Igf1-floxマウスとHsa-mcmマウスを掛け合わせ、タモキシフェンにより骨格筋特異的にIGF-Iの欠損を誘導できるIgf1-flox/flox; Hsa-mcm(iskm-IGF1 KO)マウスを作出した。コントロールには、同腹のIgf1-flox/flox(Con)マウスを用いた。4-5月齢においてタモキシフェンの連続投与により骨格筋IGF-Iの欠損を誘導し、投与3週間後から行動解析を実施した。行動解析は、オープンフィールド試験、高架式十字迷路試験、Y迷路試験、バーンズ迷路試験の順に行った。 オープンフィールド試験・高架式十字迷路試験・Y迷路試験において、自発行動量の変化は観察されなかった。情動に関しては、オープンフィールドにおけるセンターゾーンでの滞在時間ならびに高架式十字迷路試験におけるオープンアームでの滞在時間の双方で遺伝子型による顕著な変化は検出されず、骨格筋IGF-Iの欠損による不安様行動への影響は観察されなかった。Y迷路試験におけるワーキングメモリーの指標である自発的交替行動に関しても、骨格筋IGF-I欠損による影響は観察されなかった。バーンズ迷路試験においては、両群ともに空間記憶学習が観察され、骨格筋IGF-I欠損による学習障害は観察されなかった。 以上より、成熟骨格筋におけるIGF-Iの欠損は、自発運動量・不安様行動・学習障害に関与しないことが示唆された。
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