2021 Fiscal Year Annual Research Report
下肢の感覚障害を有する高齢者における障害物跨ぎ動作の視覚運動制御
Project/Area Number |
19K24331
|
Research Institution | Morinomiya University of Medical Sciences |
Principal Investigator |
国宗 翔 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 助教 (50848554)
|
Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
|
Keywords | 視覚運動制御 / 高齢者 / 障害物跨ぎ動作 / 感覚 / 転倒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は下肢の感覚障害を有する高齢者における障害物跨ぎ動作の視覚運動制御を明らかにすることである。 本研究の対象者を選定するうえで、まず性別の影響を検討する必要性があった。本研究の予備的研究として、健常若年者と高齢者を対象にした実験的研究のデータより、視覚運動制御の性差を検討した。この結果、障害物跨ぎ動作におけるLead limbのToe Clearance調整については、男性も女性も同様の視覚運動制御をしていることが示唆された。しかし、跨ぎ動作中は女性よりも男性の方が姿勢が不安定になりやすいことが明らかになった。また、男性の方が障害物跨ぎ動作中の姿勢安定性に対する上方視野への依存度が高い可能性が示唆された。他にも、これらの視覚運動制御の性差について、加齢による影響を受けないことが示唆された。これらの結果は関連学会で発表している。 次に、下肢の固有感覚障害を有する高齢者における障害物跨ぎ動作の視覚運動制御を検討した。対象者は近隣クリニックに自力で歩行して通院する高齢者であり、下肢の感覚障害を有する4症例について測定を行った。対象者には液晶シャッターゴーグルを装着させ、歩行中の障害物跨ぎ動作を実施させた。視野の条件は視野遮断なし条件、障害物1歩前に下方視野を遮断する条件、障害物2歩前に下方視野のみ遮断する条件の計3条件とした。障害物跨ぎ動作を3次元動作解析装置で計測し、Lead limbのToe Clearanceを算出した。その結果、下肢の固有感覚障害が最も軽度な症例のみ、障害物2歩前で視野を遮断する条件でLead limbのToe Clearanceが増大し、健常者と同様の傾向を示した。今後、症例数を増加しての検証を行っていくことで、下肢の固有感覚障害と障害物跨ぎ動作における視覚運動制御の関連性を特徴づけられる可能性があることが本研究により示唆された。この結果については関連学会で発表を行った。
|