2020 Fiscal Year Research-status Report
動脈血酸素飽和度を用いた至適な低酸素トレーニングプログラムの開発
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19K24334
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
笠井 信一 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ研究部, 契約研究員 (60845874)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 低酸素 / 高強度運動 / 動脈血酸素飽和度 / 低酸素トレーニング / グリコーゲン / スプリント / トレーニング科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、低酸素トレーニングが運動パフォーマンスを改善させること、骨格筋内のエネルギー基質量を増加させることを明らかにしてきた(Kasai et al. 2015, 2017, 2019)。さらに近年、低酸素トレーニングの推奨プロトコールも示されたが、トレーニング時における至適な酸素濃度までは明らかにされていない。そこで、動脈血酸素飽和度(SpO2)を考慮した低酸素環境下における運動・トレーニングが無酸素性能力の改善に及ぼす効果を明らかにし、SpO2を用いた効率的な低酸素トレーニングプログラムを新たに提案することを目的に研究を実施してきた。 今年度は、低酸素環境下での高強度トレーニング時におけるSpO2の違いが、筋グリコーゲン量および局所循環に及ぼす影響を明らかにすることを目的に実験を実施した。陸上競技選手7名を対象に、高強度トレーニングを低酸素環境下(酸素濃度; 14.4%、標高3,000m相当)において実施した。トレーニングには、高強度運動(6秒間全力ペダリング × 5セット、セット間休息30秒)を用いた。これらの運動を1セッションとし、10分間の休息を挟んで3セッション実施した。トレーニング期間前後には、間欠的ペダリングテスト(6秒間全力ペダリング × 5セット、3セッション)を実施し、発揮パワーを評価した。また、間欠的ペダリングテストの前後において、筋血流量および筋酸素消費量を測定した。さらに、炭素磁気共鳴分光法を用いて安静時における筋グリコーゲン量を非侵襲的に測定した。その結果、最高パワーおよび平均パワーはトレーニング期間前後において有意に増加した(P < 0.05)。筋血流量および筋酸素消費量はトレーニング期間前後において有意な増加が認められた(P < 0.05)。その他の測定項目は、現在解析中であり、今後サンプル数を増やしてSpO2との関連を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
採用2年目(令和2年度)に予定していた実験(研究課題:トレーニング時におけるSpO2に基づいた低酸素トレーニングの効果)を進めることができた。しかし、コロナウイルス感染症拡大に伴って実験が中断し、本来予定していたサンプル数には至らなかったため、次年度(令和3年度)に延長して実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、トレーニング時における動脈血酸素飽和度に基づいた低酸素トレーニングの効果を検証する予定である。無酸素性能力の改善をねらいとした低酸素トレーニングプログラムの開発に向けて研究を推進していく。実験は、夏以降(9-12月)の実施を予定している。また今後は、採用1年目(令和元年度)に実施した研究成果を国内・国際学会で発表するとともに、国際誌への投稿を予定している。
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Causes of Carryover |
採用2年目(令和2年度)は、長期のトレーニング介入を一部終えることができたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で実験が中断することとなり、統計解析のできるサンプル数に至らなかった。そのため、次年度(令和3年度)に実施する。また、国内や国外学会への参加費および旅費として計上していたが、開催中止・延期となった。そのため、次年度開催される学会への参加を予定している。
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