2019 Fiscal Year Research-status Report
騒音は生物多様性の重大脅威か?:生息地の分断化との影響比較と相互影響の解明
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19K24377
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
先崎 理之 北海道大学, 地球環境科学研究院, 助教 (10845514)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 騒音汚染 / 交通騒音 / 分断化 / 生物多様性 / 鳥類群集 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来、生物多様性の広域評価では、生息地の分断化の影響が強調されてきた。しかし近年、分断化としばしば同時に生じる環境汚染源である交通騒音が、動物の行動や群集構造(種数・個体数等)といった生物多様性を左右する要素に影響することが分かってきた。そこで本研究では、生物多様性への騒音の影響が分断化の影響に匹敵するのかを調べ、さらに騒音と分断化の相互影響の有無を理解することを目的とする。そのために、北海道勇払平野の分断化の程度が異なる複数の森林景観で、鳥類群集を対象に騒音の再生実験を行い、鳥類の種数・個体数への騒音と分断化の影響力を比較する。
令和元年度は、まず調査地の選定を行った。具体的には、10~3月にかけて現地調査及び地理情報システムを用いて、勇払平野および北海道大学苫小牧研究林から分断化の程度が異なる10の調査林分を選定した。続いて、各調査林分について、音声状況の測定と充電器・太陽光パネルと連結した拡声器3台から成る騒音再生システムの設置を行った。さらに、10~11月及び3月には、主に苫小牧研究林内に設置した林分パッチで騒音再生システムを稼働させ、予備的な鳥類調査を行った。
令和2年度は、まず鳥類の本調査を実施する。具体的には、鳥類の渡り時期である5~6月および9~10月に、各調査林分で騒音を再生する/しない週を8回繰り返す。各週に一回、騒騒音再生システム付近の鳥類の種数・個体数を数える。調査終了後に得られたデータを解析し、論文を執筆する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書記載の通りの計画を令和元年度に実施でき、次年度の野外調査に必要な物品をすべてそろえることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通りに野外調査を遂行する予定である。調査を終え次第、論文執筆にとりかかり、国際誌への投稿を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により、当研究のさらなる発展のために計画していた海外出張一件および国内出張一件を取りやめたため次年度使用額が生じた。状況が改善すれば、これらの出張を翌年度に行いたいと考えているため、次年度使用額はそれらの予算に充てる計画である。
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