2019 Fiscal Year Research-status Report
Study on the conservation of blue whales
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19K24380
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩田 高志 東京大学, 大気海洋研究所, 海洋科学特定共同研究員 (10636913)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | シロナガスクジラ / 音響 / 加速度 / データロガー / バイオロギング |
Outline of Annual Research Achievements |
地球上最大の動物であるシロナガスクジラは、IUCNレッドリストの絶滅危惧種(Endangered)として指定されている。動物を保護する上でまず初めに取り組むべき重要なことは、彼らの基礎的な生態を理解することである。しかし、一生を水中で過ごすシロナガスクジラの生態的知見の多くが不足しているのが現状である。本研究では、採餌海域におけるシロナガスクジラの詳細な時間スケールでの生態の解明を目的とし、動物装着型記録計を用いてシロナガスクジラの行動と鳴音を調査することでこの課題に取り組む。 研究開始から現在までは野外調査準備期間であり、主に調査準備が研究実績となる。2020年度にアイスランドで実施するシロナガスクジラの野外調査の準備として、動物装着型の音響記録計(音響ロガー)を新規に購入した。本記録計を水中に入れ動作確認をし、実際に水中音が録音できることを確認した。行動記録計(行動ロガー)の購入手続きを現在進めている。 データ解析として、シロナガスクジラの行動を採餌・休息・移動に分類するアルゴリズムの構築をした。ヒゲクジラ類はランジフィーディング(突進採餌)と呼ばれる特有の採餌行動をするので、その行動を加速度と遊泳速度から検出し、採餌として抽出する方法を考案した。遊泳速度が遅いもしくは、遊泳していない時を休息として定義し、遊泳しているが採餌をしていない時を移動と定義した。次に音響ロガーから得られた記録からクジラの鳴音を検出する方法を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始から現在までは野外調査準備期間であり、その準備状況はおおむね順調である。 2020年6月にアイスランドで実施するシロナガスクジラの野外調査の準備として、音響ロガーを計画通り購入し、行動ロガーの購入手続きを進めている。行動ロガーに関しては当初所属研究室のものを借用する計画であったが、動作が著しく安定しないため、別のロガーを購入することとなった。2020年6月までに浮力材に行動ロガー、音響ロガー、ビデオ、VHF発信器、およびクジラに装着するための吸盤を取り付けたタグの作成を現在すすめている。 そのほかに、シロナガスクジラの行動を分類するアルゴリズムを計画通り構築をした。 野外調査は、小型の船外機付きゴムボート(約4メートル)で2-3名が乗船し実施する。乗船者のうち、当初の計画では船舶操縦免許保持者は1人であった。調査は10時間を越えること想定されるので、操縦士一人にかかる負担が大きいことが考えられる。操縦士の負担を減らすためまた調査を安全に進めるためにも、申請者は小型船舶免許を取得した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年6月にアイスランドで実施するシロナガスクジラの野外調査までに浮力材に行動ロガー、音響ロガー、ビデオ、VHF発信器、およびクジラに装着するための吸盤を取り付けたタグの作成をする。6月に野外調査を実施し、シロナガスクジラの行動・音響データを取得する予定である。 コロナウィルスの影響で野外調査の中止が懸念されている。もし中止となった場合、来年度に調査を延期することを検討している。
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Causes of Carryover |
当該年度は本助成金と同時に申請していた他の助成金を獲得した。どちらの計画でも解析用計算機として40-50万円計上していたが、一台で十分であるため、本助成金での計算機の購入を見送った。翌年度に繰り越した予算で、動物装着型記録計および記録計セットアップ用のコンピューターの購入をする。
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Research Products
(2 results)