2019 Fiscal Year Research-status Report
Understanding iodine dynamics via sludge in Tokyo Bay
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19K24381
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
尾張 聡子 東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (50846350)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | ヨウ素 / ヘドロ / 東京湾 |
Outline of Annual Research Achievements |
資源として利用されるヨウ素は,チリや日本からの生産によって多くが賄われており,ヨウ素鉱床の利用状況はこれらの二国に大きく偏っている.ヨウ素は人類が生きる上で永続的に必須な元素であり,現在のヨウ素鉱床からヨウ素が得られなくなった場合,人類はどのようにしてヨウ素を得ることができるのであろうか. 東京湾では,人間活動によって栄養負荷が著しく高い水が湾内へと流れ込んでいるため,赤潮などの珪藻ブルームが頻繁に発生しており,藻類の死骸などを多く含む有機物がヘドロとして発達する.藻類は生物親和性の高いヨウ素を取り込み濃縮する働きを持つため,本研究では,東京湾においてヘドロを介してどれほどのヨウ素が濃集しているのか明らかにすることを目的とした.今年度は船舶を用い,東京湾において10地点以上で表層堆積物の採泥と柱状採泥を行い,船上でガス測定用の試料採取を行った.その他の堆積物は実験室まで冷凍で輸送し,間隙水の抽出作業を行ったのち,間隙水中のヨウ素濃度を測定した.間隙水中のヨウ素濃度は海底表層にも関わらず海水の数~数十倍と高い濃度であったことや,海底下2 mほどで海水の100倍以上の高濃度を示した. 次年度は湾口側や湾内において採泥点を増やすとともに,有機物量,堆積物(固相)中のヨウ素濃度の測定,珪藻量の測定を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
採泥をはじめとする試料採取は当初の計画通りに進んでおり東京湾の中でも河川の影響のある陸側の採泥を行った.また採取した泥から間隙水を抽出し,間隙水中のガス成分やヨウ素濃度の測定もすでに終了しており,次年度の採泥に向けて準備中である.また有機物量や珪藻量の測定などの分析は次年度測定する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では採泥点を約10点増やす予定であるが,コロナウイルスによる影響で現段階の船舶運航の見通しがつかないことから,採泥点が少なくなる可能性がある.しかしながら,採泥を実施できる機会があれば乗船し,可能な限り計画に沿った採泥を行う予定である.試料の処理や分析においては,他大学の実験室の利用申請を行い,実施する予定である.
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Causes of Carryover |
大学の建物の改修に伴い,実験室が使用できず,冷蔵庫や簡易ドラフトの設置場所がないことや,試料処理に必要な消耗品などの購入ができないためである.次年度では実験室の利用が可能になることから,計画にある必要な機材や消耗品を購入する予定である.
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