2020 Fiscal Year Research-status Report
マレーシア熱帯山地林における人為攪乱が樹種多様性に与える影響―保全計画に向けて―
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19K24386
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
伊尾木 慶子 武蔵野大学, 工学部, 講師 (70838705)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 熱帯山地林 / 人為攪乱 / 生物多様性 / ボルネオ / LANDSAT |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は現地の人為攪乱の状況を把握するため、現地で実施した毎木調査のデータ整理およびGoogle Earth Engineを用いた時系列LANDSAT画像の解析を行った。 2019年度までに毎木調査で収集した標本から樹種の同定を行い、属レベルでの多様性について調べるためプロットごとの属組成の類似度を把握した。樹種の同定はマレーシアサバ大学およびサバ森林局の研究センターで行われた。また、Google Earth Engineにより時系列LANDSAT画像から得られた指数の変化を抽出することで撹乱後の年数や攪乱の強度の情報を取得し、地図化を行った。 調査プロットで得られた毎木調査データを立木密度や断面積合計、最大胸高直径などの項目から整理したところ、皆伐時に伐採会社による火入れのあった林分や択伐林、焼畑農業跡地の林分、現地住民が日常的に木材採取のために使用している林分などの異なった人為攪乱を受けた森林の林分構造の違いが明らかになった。 また、時系列LANDSAT画像の解析から得られた撹乱後の年数や攪乱の強度、撹乱のなかった森林までの距離を変数とし属組成の類似度との関係を調べたところ、用いた全ての変数において有意な関係性があることが示された。このことから、対象地の熱帯山地林において異なった人為攪乱の種類およびその強度や攪乱からの年数、種子供給源からの距離といった要素が本研究対象地の樹種構成の回復に影響を与えている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度に予定していた現地調査は渡航制限のため実施できなかったものの、既存の調査データも含めて解析を行うことができた。また、当初予定していた樹種多様性の解析については種レベルまで同定できなかった個体が全体の半分近くを占め、予想より大幅に多かったことから属レベルでの解析に変更することとした。属レベルの解析でも異なった人為攪乱タイプの林分における属組成の類似度の違いが明らかになったことから、本研究の目的は達成できていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に実施できなかった現地での調査を実施する。現地の森林局の研究センターにて2019年度に行った調査の樹種データの中で同定できなかった樹種について少なくとも属レベルまでの同定作業を行い、さらにデータを追加して解析を行う。その結果をもとに、異なった種類の人為攪乱とそれぞれの攪乱が植生の回復に与える影響について考察を進め、対象地の熱帯山地林における保全計画の提案につなげる。
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Causes of Carryover |
2020年度に予定していた現地への渡航ができなかったため。渡航が可能になり次第、旅費や人件費として使用予定。
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Research Products
(2 results)