2021 Fiscal Year Research-status Report
マレーシア熱帯山地林における人為攪乱が樹種多様性に与える影響―保全計画に向けて―
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19K24386
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
伊尾木 慶子 武蔵野大学, 工学部, 講師 (70838705)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 熱帯山地林 / 人為攪乱 / 生物多様性 / ボルネオ / LANDSAT |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は前年度までに明らかになった内容に加え、さらに属数のデータを用いた解析や時系列LANDSAT画像を用いた解析を進めた。属数のデータから属組成の類似度と、属の豊富さの指数(rarefied richness)をそれぞれの攪乱タイプごとに比較したところ、属組成の類似度の方が本研究対象地の森林回復の程度を示すのに適していることが示唆された。また時系列LANDSATの解析では前年度までに検討していた撹乱後の年数や強度などに加え、Google Earth Engine上でアルゴリズムLandTrendrを用い、時系列の画像ピクセルから得られた指数であるNormalized Burn Ratio(NBR)の値が攪乱前までの値に回復するまでの年数(Years to Recovery:Y2R)について算出した。Y2RについてピクセルのNBRの値が撹乱前のそれぞれ80%、90%、100%に回復するまでにかかった年数(Y2R80%, Y2R90%, Y2R100%)の群集組成の回復との関連性を調べたところ、100%までの回復にかかった年数(Y2R100%)のみ群集組成の回復との有意な関係が見られ、80%が指標とされている北方林や温帯林と比べて撹後の植生の回復スピードが速い熱帯林の特徴が明らかになった。この結果よりLANDSAT画像の時系列解析から得られる撹乱に関するさまざまな情報によって、撹乱後の群集組成の回復について表すことができる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020-2021年度に予定していた現地調査は渡航制限のため実施できなかったものの、既存の調査データも含めて解析を行い、結果を得ることができた。また、本研究の内容をまとめ国際誌で発表した。以上より本研究はおおむね順調に進んだと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に行った現地での調査のサンプルについて現地で整理し、不明な樹種についての同定作業を続けるとともに、適切に保管するよう手続きを行う。また現地カウンターパートと今回の結果について議論し、対象地の熱帯山地林における保全計画について検討を行う予定である。本研究のまとめについて国際学会にて発表予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度に予定していた現地渡航ができなかったため。2022年度は渡航を計画しており、渡航費として使用予定である。また8月の国際学会の旅費としても使用予定である。
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Research Products
(2 results)