2019 Fiscal Year Research-status Report
Co-benefits of air pollution regulations and climate change mitigation for food security
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19K24387
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
長谷川 知子 立命館大学, 理工学部, 准教授 (60615524)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 気候変動 / 対流圏オゾン / 共便益 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では気候緩和策の実施強度が異なるシナリオ下で推計された将来の対流圏オゾン濃度分布を用いて,対流圏オゾンが作物収量に与える影響を推計した.定量化された収量を比較することで,世界全域を対象に気候変動緩和策によるオゾン濃度減少を通じた作物収量への副次的な便益を定量化した. オゾン濃度分布には、Fujimori et al. (2018)により開発された大気汚染物質の排出量のグリッドデータを基に大気化学輸送モデル(GEOS-Chem)により計算されたものを用いた。GEOS-Chem は各種ガスの排出量の分布から大気中の化学反応および輸送を計算するモデルである。さらに、作物の収量損失は,作物成長期データ(Sacks et al., 2010)と作物の応答関数(Chuwah et al. (2015),Van Dingenen et al. (2009))を用いて、作物が成長期に暴露するオゾン濃度から算出した. 結果として,強い緩和策は対流圏オゾン濃度減少を通じて将来的に作物収量を全世界で1%程度改善させるが,気候変動緩和による直接的な改善効果と比較すると3割程度と副次的な便益としては限定的であることがわかった.しかしながら,強い緩和策は対流圏オゾンによる局地的な収量減少を回避しうることから,世界全域の安定的な発展には重要であることが示唆された.以上の内容を地球環境シンポジウムへ投稿中である. このように、1年目は予定通り、全球のグリッドベースの作物収量とオゾン濃度データから大気汚染物質の排出条件が異なるシナリオ下での作物収量被害を算定、分析し、結果を論文としてとりまとめた。さらに、経済モデルでのシミュレーションの準備として、地域別作物収量変化と社会経済条件を経済モデルに入力し、食料消費と飢餓リスク人口の試験的算定を行っており、おおむね順調に進展している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目は予定通り、全球のグリッドベースの作物収量とオゾン濃度データから大気汚染物質の排出条件が異なるシナリオ下での作物収量被害を算定、分析し、結果を論文としてとりまとめた。さらに、経済モデルでのシミュレーションの準備として、地域別作物収量変化と社会経済条件を経済モデルに入力し、食料消費と飢餓リスク人口の試験的算定を行っており、おおむね順調に進展しているとみなす。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、整備できた収量データと経済モデルを用いてシミュレーションを実施する。地域別作物収量変化と社会経済条件(人口、GDPなど)を経済モデルに入力し、食料消費と飢餓リスク人口を推計する。これらから得られるシナリオ別の結果を比較し、大気汚染規制と気候変動対策による食料消費と飢餓リスク人口の変化を算出する。その結果をとりまとめ、論文を執筆・投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
研究成果に関する学会発表が1年目ではなく2年目に実施することになったため、旅費を2年目に繰り越した。 また、予定していた会議がオンライン会議に変更になったため。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Biodiversity can benefit from climate stabilization despite adverse side effects of land-based mitigation2019
Author(s)
Haruka Ohashi, Tomoko Hasegawa, Akiko Hirata, Shinichiro Fujimori, Kiyoshi Takahashi, Ikutaro Tsuyama, Katsuhiro Nakao, Yuji Kominami, Nobuyuki Tanaka, Yasuaki Hijioka, Tetsuya Matsui
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 10
Pages: 5240
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Dependence of economic impacts of climate change on anthropogenically directed pathways2019
Author(s)
Jun'ya Takakura, Shinichiro Fujimori, Naota Hanasaki, Tomoko Hasegawa, Yukiko Hirabayashi, Yasushi Honda, Toshichika Izumi, Naoko Kumano, Chan Park, Zhihong Shen, Kiyoshi Takahashi, Makoto Tamura, Masahiro Tanoue, Koujiro Tsuchida, Hiromune Yokoki, Qian Zhou, Taikan Oki, Yasuaki Hijioka
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Journal Title
Nature Climate Change
Volume: 9
Pages: 737, 741
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Contribution of the land sector to a 1.5°C World2019
Author(s)
Stephanie Roe, Charlotte Streck, Michael Obersteiner, Stefan Frank, Bronson Griscom, Laurent Drouet, Oliver Fricko, Mykola Gusti, Nancy Harris, Tomoko Hasegwa, et al.
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Journal Title
Nature Climate Change
Volume: 9
Pages: 817, 828
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research