2021 Fiscal Year Research-status Report
Phenological impacts of climate change on Japanese plants and animals
Project/Area Number |
19K24390
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
大西 有子 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 助教 (30738117)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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Keywords | 生物季節 / 温暖化影響評価 / 温暖化影響予測 / 統計モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、気候変動が生態系に与える影響を、さまざまな動植物の生物季節の変化を分析、予測することで評価することを目指している。今年度も、新型コロナ感染拡大防止措置による緊急事態宣言やまん延防止措置の影響により、出張を伴うフィールド調査は実施しなかった。その代わりに、前年度までの生物季節モデルに関連した文献レビューに加えて、気候変動に関するより幅広いテーマにおいて文献レビューを行った。また、英語の文献だけではなく、日本語の気候変動に関する文献の収集を始め、成果の出し方についての検討を行った。
生物季節モデルを作成するために、各種生物についての開花日、落葉日などの記録から、分析用のデータセットを作成した。合わせて、統計処理ソフトを導入し、データ分析の試行を行いつつ、モデルの調整を行った。予備分析の結果として、日本全国で平均した場合には、複数の種で明らかな変化が見られたが、観測地点ごとの結果では、大きなばらつきがあることが分かった。また、種によっては欠損値が多く、結果の解釈が難しかった。
また、上記以外の民間および公的組織による観測記録の調査を継続して行った。主要な植物や作物の開花日の記録は、複数の機関が保有していることが確認されたが、観測期間が短かったり、記録方法が統一されていなかったり、温暖化影響の科学的分析に使えるものは少なかった。もともと異なる目的のために使われていた記録のため、温暖化の影響として評価するには注意を要する。異なる機関が記録したものを統合することは難しいと思われた。記録の活用の方法に関しては、次年度も継続して検討することとする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
気候変動の生態系への影響に関する文献レビューに関しては、ほぼ完了し、新規の論文を追加しながら更新している。モデリングに関しても、当初の予定からは遅れているものの、昨年度の計画変更どおり、進んでいる。当初の予定であった、各地に赴いてデータを入手することは難しかったが、オンラインで入手可能なデータに関しては、データ整備と予備分析が終了している。来年度は、最終分析と結果の考察、論文の執筆を残すのみとなっている。
一方で、専門家への聞き取り調査や打ち合わせ、および学会での発表等、出張を伴う計画は、ほぼ中止か、オンラインでのミーティングに変更したため、研究費の多くは執行するに至らなかった。主要な学会では、次年度の会合もオンラインまたはハイブリッドで行うことが既に決定されていることから、当初旅費として予定していた予算を書籍の購入費等に宛てるなど、計画の変更を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
研究開始当初に予定していた国内、国外への出張は、次年度可能になったとしても大幅に削減される可能性が高い。そのため、研究のデータとしては、ウェブサイト上でダウンロード可能なもの、および、オンラインの打ち合わせ(メールまたはテレビ会議システム)を通じて利用可能なものに限定して実施する。その代わりに、日本に限らず、国際的に可能なデータがないか調査し、地域を広げて分析を行うことができないかを検討する。
また、現在入手済みのデータに関して、分析の目処がたったため、上記データの入手が困難と判断された場合は、現データに限って分析を進め、結果をまとめ、論文を執筆する。旅費として使用予定であった経費に関しては、論文のオープンアクセス化や、論文以外の成果公表(報告書やウェブサイト等)に充てる。次年度は、そのための成果公表の方法の検討や、成果物の作成を行う。
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Causes of Carryover |
国内、国外への出張(調査、打ち合わせ、学会発表)を中止し、それに伴い研究の執行に遅れが生じたため。 国内出張に関しては、次年度は可能になると思われる。国際学会に関しては、オンラインまたはハイブリッドで行われることが多く、海外旅費は使用しない可能性が高い。その場合は、追加のデータの入手費用や、執筆予定の論文のオンライン化、論文以外の媒体での成果普及(報告書やウェブサイト等)に充てる。
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