2023 Fiscal Year Annual Research Report
Phenological impacts of climate change on Japanese plants and animals
Project/Area Number |
19K24390
|
Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
大西 有子 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 助教 (30738117)
|
Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2024-03-31
|
Keywords | 生物季節 / 温暖化影響評価 / 都市化 / 気候変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、気候変動が生態系に与える影響を、さまざまな動植物の生物季節の変化を分析、予測することで評価することを目指している。本課題の申請時には、生物季節観測状況を把握するため、日本各地へのフィールド調査を予定していた他、海外学会への参加を予定していたが、新型コロナ感染拡大により、長期間実施不可能な状況が続いた。今年度は、最終年度となるため、フィールド調査を実施しない研究内容に計画を変更した。具体的には、前年度に入手した生物季節のデータに加えて、日本各地の気象データを入手し、近年の生物季節の変動とともに、気象パラメーターの経年変化を分析した。
その結果、生物季節は、多くの植物で1980年以降に変化の速度が高まったことが分かった。一方で、1960年から1980年の間は、観測地によりばらつきが大きかった。この時期は多くの都市で都市化が進んだ時期でもあったため、都市化が要因の1つと考えられたため、市町村別の人口データや、都市化率などの都市化を示す指数と用いて、生物季節変化と、気候変動および都市化の進行との関連を分析した。さらに、日本の近年の気温上昇に関する文献のレビューや、都市化と生物季節現象との関連についての文献調査を行った。
これらの分析の結果、東京などの大都市においては、都市化と生物季節変化の相関が高く、都市化による温度上昇が生物季節変化に影響を及ぼした可能性が高いことが分かった。一方で、中都市、小都市の変化については、さまざまな条件別に相関関係を分析したが、強い相関のある条件は特定できなかった。研究活動の終盤では、成果発表用のグラフや資料作成を行い、学会や論文で公表するための準備を行った。
|