2019 Fiscal Year Research-status Report
Environmental impacts in mining countries induced by global energy transitions
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19K24391
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
渡 卓磨 国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環・廃棄物研究センター, 研究員 (10845811)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 物質フロー / 国際貿易 / 気候変動 / ガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,大規模エネルギー転換が牽引する国際資源フローとそれに起因する環境的被害の将来予測を可能とする数理モデルを開発し、国家間に生じる空間的利害関係を時系列で同定することを目的とする。これにより、利害縮小に資する補助金制度やフェアトレード等の枠組み構築に対する科学的根拠の提供を目指す。本年度は以下に示す3つの研究成果を得た。 (1)既存研究における限界点の抽出:1990年~2018年に国際学術誌にて発表された全88本の文献レビューを実施し、環境影響や元素間連鎖の欠如、廃棄物リサイクル偏向のモデル化など、既存研究には少なくとも5の限界点が存在することを解明した。 (2)低炭素技術普及に対するレアメタル供給制約の影響評価:電気自動車の普及を描写する低炭素シナリオに希少金属資源(リチウム)の需給動態を内在化した統合型モデルを開発し、現状のリサイクル率ではリチウム供給制約がバッテリー電気自動車導入を阻害し、大幅な二酸化炭素排出増加をもたらす可能性を指摘した。 (3)物質フロー変化に伴う空間的乖離の特定:エネルギー転換に伴う物質フローを資源採掘国情報と接続することで、資源ガバナンスの強化を欠いたエネルギー転換は資源消費国と生産国の空間的乖離を誘発しうることを発見した。また、特に注視すべき鉱種および資源生産国を特定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
モデル開発および解析実施の双方において当初計画以上の成果を得られた。既に成果(1)と(2)に関してはResource, Conservation & Recycling誌(IF=7.044)およびEnvironmental Science & Technology誌(IF=7.149)にそれぞれ投稿し、採択されるに至っている。(3)の成果も国際学術誌への投稿を完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は数理モデルおよびデータの精緻化を実施することで、解析結果の国際政策・戦略反映を目指す。具体的には、本年度の解析によって明らかになった資源消費国と生産国の空間的乖離縮小に資する循環経済戦略や資源ガバナンス強化策の提案を行う。
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Causes of Carryover |
購入を予定していたソフトウェア(Matlab)を無料のもの(Python)で代替できたため。残金は投稿論文のオープンアクセス代として使用する予定である。
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Research Products
(6 results)