2019 Fiscal Year Research-status Report
森林生態系における食物連鎖を介した放射性セシウムの長期的移行挙動の解明
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19K24392
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
田中 草太 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 博士研究員 (50847217)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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Keywords | 放射性セシウム / 節足動物 / ジョロウグモ / 腐食連鎖 / 安定同位体 |
Outline of Annual Research Achievements |
森林生態系における放射性セシウムは、その多くが土壌表層に集積され移動性を失う一方で、一部は生物に利用されやすい形態で存在するため、長期的には生物の被食捕食関係である食物連鎖を介して生態系を移動循環すると考えられる。本研究では、節足動物やミミズを指標生物として、生食・腐食連鎖を介した放射性Csの移行経路、移行量、及び移行の時間スケールを明らかにすることで、食物連鎖を介して移動循環する放射性Csの移行過程と長期的な動態を解明することを目的とする 令和元年度は、8-9月に計8日間のフィールド調査を実施した。造網性のジョロウグモとその主要な餌資源である飛翔性昆虫を中心にサンプリングを実施した。ジョロウグモは見採り、飛翔性昆虫については、ファネルトラップを用いてサンプリングした。上記の調査日数とサンプリング手法で、放射性セシウムの測定に十分な量のサンプルを確保出来ることを確認した。ジョロウグモの多くは、事故後8年が経過した段階でも個体レベルで137Csが検出可能なレベルの汚染であった。また、ジョロウグモの主要な餌資源である飛翔性昆虫の多くから137Csが検出され、同一トラップ内で採集された個体においても、種や科レベルで検出される137Cs濃度が異なることが明らかとなった。このことは、飛翔性昆虫の137Cs濃度が、彼らの食性と移動性等によって影響を受ける可能性を示唆している。また、ジョロウグモの炭素・窒素安定同位体(δ13C,δ15N)分析を開始し、サンプル量として0.7 mg程度で安定した測定が可能であることがわかった。このことから調査対象時期にサンプリングされたサイズのクモ個体からは、胸部、腹部、脚部といった部位ごとの安定同位体測定が可能であることが判明した。今後、飛翔性昆虫についても安定同位体測定を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、現地サンプリングを実施し、目標としていた節足動物の数を確保できた。サンプルの放射性セシウムの測定を進めるとともに、安定同位体分析を開始した。ジョロウグモの主要な餌資源と考えられる飛翔性昆虫から137Csが検出され、その濃度は彼らの食性と移動性等の影響を受ける可能性が示唆された。研究成果については、国内学会、Proceedings、総説論文(オープンアクセス)として公表した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き節足動物のサンプリングを継続し、137Csの移行に関して長期的なデータの取得を目指す。ジョロウグモに関しては、部位ごとに安定同位体測定が可能なことが明らかとなったため、今後は、部位ごとの同位体の同化速度の違いに着目することで、より詳細な137Csの移行機構を明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの影響で参加予定の学会や打ち合わせ等の中止が相次いだため、次年度使用額が生じた。未使用分は、次年度の学会参加費や分析費用に充てる予定である。
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Research Products
(4 results)