2020 Fiscal Year Research-status Report
将来における金属資源の安定確保戦略に資する動的リスク分析フレームの構築
Project/Area Number |
19K24394
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
横井 崚佑 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究員 (80849894)
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Project Period (FY) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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Keywords | 金属資源 / 物質フロー分析 / 産業連関分析 / 資源リスク / 安定供給 |
Outline of Annual Research Achievements |
金属資源の需要増加を受けて将来における資源確保の安定性が懸念されている。資源の安定確保リスクに関する従来の研究では、資源需要の将来変化や一次資源および二次資源中に共存する複数資源の関係性、地域や国に依存する社会経済的要素が十分に考慮されていないという問題がある。本研究では、それらの要素を考慮して将来にわたる金属資源の安定確保リスクの新たな評価・管理手法を開発することを目指す。これにより、より実際の資源供給制約に即した将来における資源の安定確保リスクの評価フレームを構築し、我が国の今後の安定的な資源確保戦略の策定に貢献できると期待される。 一年目は天然鉱山からの一次資源採掘を対象として分析を行ったのに対して、二年目では最終製品として使用されて社会中に蓄積する二次資源の分析を中心に進めた。動的マテリアルフロー分析モデルを用いて世界各国における金属資源蓄積量を推計し、その時系列推計結果に基づいて金属資源の将来需要推計を行った。さらに将来需要量変化とリサイクルによる一次資源代替を考慮して、中長期的な視点から金属資源の枯渇性を評価する枠組みを構築した。また、日本国内を対象に、産業連関分析とマテリアルフロー分析を組み合わせて、銅資源の蓄積量および廃棄量を詳細かつ包括的に時系列で推計した。この研究成果は、二次資源の利用可能性 (リサイクル可能性) の評価へと繋がるものであり、金属資源の安定確保評価において重要な要素の1つである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、金属資源の安定確保リスク評価に対し、社会中に蓄積する二次資源の評価と、将来需要推計を行うことが出来た。しかしCOVID-19による渡航制限などによって、海外の研究グループとの協力作業を予定していた、一次資源の供給源である天然鉱山を対象とした分析に関して遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
資源需給状況の将来変化を考慮した安定確保リスク評価に向けて、一次資源と二次資源の利用可能性を合わせた統合的評価を行う。また予定が遅れている一次資源の利用可能性評価に関しては、評価において重要となる埋蔵量や鉱石品位、共存元素に関する鉱山別のデータベースを利用して、研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19による渡航制限によって、海外への渡航分として考えていた経費の使用がなくなった。一方、研究を進める上で必要となる鉱山別のデータベース購入等のための経費として次年度使用額が生じている。
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