2022 Fiscal Year Research-status Report
向社会行動を制御する視床ー扁桃体神経回路の社会行動発達への役割
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19K24681
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
荒川 礼行 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00870304)
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Project Period (FY) |
2021-03-12 – 2024-03-31
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Keywords | 社会行動 / 神経回路 / 自閉症 / マウスモデル / 遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトを含む社会的動物にとって、健全な社会行動(向社会行動)を維持することは生涯を通じて健康維持、抗疾患効果をもたらし、その欠如や乱れは高い健康リスクと結びつく。向社会行動を制御する神経機構を明らかとすることは、自閉症などの社会行動病理の神経基盤の解明につながるだけでなく、社会的サポートが持つ抗疾患効果の神経機序を明らかとすることにもなる。本研究では高い社会性を持ち行動神経系の分析が進められているマウスモデルを用い、遺伝子改変技術と組み合わせることで、マウスが示す向社会行動の制御神経回路を明らかとする。 具体的な研究の目的は向社会行動を制御する神経回路を見つけ出すことであり、1年目はマウスモデルにおいて向社会行動を示しているときに活性している神経核を同定する作業を行った。その結果、仮説として挙げた神経回路の他に複数の分析ターゲットを見つけることができた。2年目は分析ターゲットとなった神経回路の機能を分析する。当該の神経回路をウイルスベクターによって化学遺伝学的に選択的に操作することで、機能分析を行ない、さらに組織化学的分析を加えた。今回見つかり、分析を加えた操作ターゲットである神経回路は、視床の外側手綱核のバソプレッシン回路と視床下部室傍核のオキシトシン回路であった。それぞれの機能分析を行った結果を2つの実験論文として仕上げ、投稿することができた。また、当該神経回路の相互作用に関して薬理的操作による機能分析論文も投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予算よりポスドク研究員を雇用することで研究室立ち上げ二年目ながら、実際の実験的検討をしっかり進めることができた。ただし、研究に必要な大型分析機器が所属先に不足していること、円高などの影響で消耗品や備品の価格が高騰したことから研究の進みが鈍化した部分もあった。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の実験結果から、ターゲットとすべき神経回路は同定できたので、その詳細なメカニズム特にどのように信号の切り替えを行うのか、について分析する予定である。
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